伐採
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伐採(ばっさい)は、森林の木竹を伐り倒すことであり、通常は丸太を生産する行為をいう。林業における伐採の種類には主伐、間伐、除伐、皆伐、択伐がある。
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[編集] 主伐
主伐は、森林の樹木を収穫するために伐採すること。林業の主たる収入の源泉。
[編集] 間伐
間伐は、樹木の生長に伴って混み合ってきた森林で、樹木の生育を促すために間引くための伐採。また、林床に太陽光線が届くようになり、下草が生育しやすい環境ができ、土壌の流出防止にも繋がることから、土砂災害防止のためにも重要視される保育作業である。
人工林や里山など人の手が入った天然林で行われる。樹木相互の競争に負けた劣勢木を中心に伐採し、将来木材としての利用価値が高いと思われる樹木を残すなどする定性間伐と、伐採経費を抑えるために機械的に一定量を伐採する定量間伐とに大別される。
[編集] 間伐材
1980年代以前は、伐採された間伐材にも建築現場の資材といった用途があり、販売による売り上げは林業経営者ので貴重な収入源になっていた。しかし、代替資材の開発などにより間伐材の利用がほとんどなくなると、かなりの支出を伴う間伐作業を直撃。採算があわないことを理由に放置される森林が目立つようになった。
必要な時期に間伐を行わない場合、材質が低下し製品としての価値が無くなるばかりでなく、森林全体が不健康となり森林の持つ公益的機能が十分に発揮されないおそれが生じる。このため、日本政府は間伐の推進を重要事項に掲げるとともに、公共事業の現場などでの間伐材の利用を進めている。
[編集] 除伐
除伐は、将来にわたって育成することを目指すもの以外の種類の樹木の伐採。農における除草に相当。
間伐と異なり、目的とする樹木の生長を促すためだけでなく、森林を管理する上で支障となる樹木を除去する側面もある。
[編集] 皆伐
皆伐は、対象となる区画にある森林の樹木を全て伐採すること。主伐の一手法。
皆伐は、伐採のための経費が少なくてすむことから、収入をより多くするためには合理的な方法であるが、周囲の環境に与える影響が大きいことから、近年は区画の面積を小さくして環境への負荷を軽減するようになっている。
[編集] 択伐
択伐は、対象となる区画から一定の基準で樹木を選び、その木だけを伐採すること。主として天然林で行われる主伐の一手法。
通常、10~20%程度の本数率で伐採され、残された樹木はそのまま育成され、一定年数後に同様に択伐が繰り返される。また、伐採により大きな空き地が生じた場合には、苗木が植栽されることもある。