会計基準
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会計基準(かいけいきじゅん)とは、主に企業会計における財務諸表の作成に関するルールをいう。会計基準そのものは法律ではないが、会社法や証券取引法により、事実上、法体系の中に組み込まれている。
会計基準は、企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものである、という考え方が有力である。実際には、明文化された文書の形をとっており、財務諸表の作成に関する事実上の法律と位置付けることができる。
なお、会計基準は財務諸表の表面的な書式や表示に関する規定ではなく、主に実質的な内容や金額の計算等に関する規定である。
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[編集] 日本の会計基準
日本の会計基準は、企業会計原則を中心として、論点ごとにまとめられた多数の文書(代表的なものを下記に列挙)により構成されている。
[編集] 歴史的経緯
日本の会計基準の中心となる「企業会計原則」は、戦後の民主化政策の一環として1949年に制定されたものである。その後、企業会計原則だけではカバーしきれない論点(連結財務諸表など)について、新たな会計基準が追加されていった。
1990年代後半の会計基準の追加(あるいは改正)は、主に会計基準の国際的調和という観点に基づくものである。いわゆる金融ビッグバンの一環として「会計ビッグバン」とも呼ばれる会計基準の大改正である。
2005年以降の追加(改正)は、新会社法の制定の影響によるものが多い。
[編集] 設定主体
企業会計原則以来、日本の会計基準は旧大蔵省の企業会計審議会により制定されてきた。しかし、国際的調和の観点から、諸外国と同様に民間による会計基準の設定を望む声が強くなり、2001年に設立された財団法人財務会計基準機構内の企業会計基準委員会に順次移行することとなった。
[編集] 主な会計基準一覧
2006年8月現在。
カッコ内は制定または改正の年を示す。実際の適用は、制定から1~2年程度遅れることが多い。
[編集] 企業会計審議会により設定されたもの
- 企業会計原則(1949年 最終改正1982年)
- 原価計算基準(1962年)
- 連結財務諸表原則(1975年 最終改正1997年)
- 外貨建取引等会計処理基準(1979年 最終改正1995年)
- リース取引に係る会計基準(1993年)
- 連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準(1998年)
- 中間連結財務諸表等の作成基準(1998年)
- 退職給付に係る会計基準(1998年 最終改正2005年)
- 税効果会計に係る会計基準(1998年)
- 研究開発費等に係る会計基準(1998年)
- 金融商品に関する会計基準(1999年 最終改正2006年)
- 固定資産の減損に係る会計基準(2002年)
- 企業結合に係る会計基準(2003年)
[編集] 企業会計基準委員会により設定されたもの
- 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準(2002年 最終改正2005年)
- 一株当たり当期純利益に関する会計基準(2002年 最終改正2006年)
- 役員賞与に関する会計基準(2005年)
- 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(2005年)
- 株主資本等変動計算書に関する会計基準(2005年)
- 事業分離等に関する会計基準(2005年)
- ストック・オプション等に関する会計基準(2005年)
- 棚卸資産の評価に関する会計基準(2006年)