光学合成
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光学合成(こうがくごうせい)は、映画の合成技術で、複数のフィルムを光学的に合成する手法。SFX技術のひとつ。英語ではOptical composition。オプチカル合成、オプティカル合成とも呼ばれる。
デジタル合成が主流となる前の映画における合成はもっぱらこの手法によっていたが、現在ではデジタル合成がとってかわり、ほとんど使われない技術となったが演出上の技法などで使用される。
[編集] オプティカルプリンター
光学合成には「オプティカルプリンター」と呼ばれる機材が使われる。
オプティカルプリンターは、フィルムをフィルムにコピーするための機械であり、例えばネガフィルムから上映用のポジフィルムを作成するのにも使われる。こういった単純な用途に使われるオプティカルプリンターは、コピー元のフィルム・コピー先のフィルムがそれぞれ1本づつの比較的単純な構造のものである。
光学合成に使われるオプティカルプリンターは、コピー元のフィルムを複数本かける事が出来るようにした特殊なものである。オーバーラップやワイプなどの基本的な光学合成を行うものから、複数の素材をマスクで切り出して合成する複雑なものまで、様々なものが存在した。要求される合成が複雑なものになればなるほど、コピー元のフィルムの本数は増える。安定した合成を行うためには機械そのものにも操作にもきわめて高い精度が求められ、又、合成の内容によって合成素材となるフィルムの作り方や構成も異なるため、大変な職人芸が要求された。
[編集] 豆知識
『ウルトラセブン』第11話「魔の山へ飛べ」では、ワイルド星人によってフィルムに転写された魂を肉体に合成する装置として登場した。これは、光学合成用オプティカルプリンターの上記の機能からイメージされたものであろう。当時はまだデジタル合成などは存在していなかったため、『ウルトラセブン』でも、オプティカルプリンターが作品製作上の日常的な道具として使われていたはずである。