再生産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
再生産(さいせいさん、英:reproduction)とは生産が常に繰り返されている過程を指す。経済学でしばしば用いられる用語である。
目次 |
[編集] 概説
社会の構成主体である人間は消費を行うことによって生存しているため、生産を継続的に反復するという再生産がなければ社会は存続できない。同時にすべての人間が社会の中で商品を売買し、それを消費して生活しているため、この場合すべての生産は再生産の側面を併せ持つと言える。
[編集] 単純再生産
単純再生産(simple reproduction)とは同じ価値を持つ商品を同じ規模で再生産することを指す。マルクス経済学では拡大再生産の基礎過程として考えられており、資本主義経済における単純再生産では剰余価値が資本に追加されずに、資本家に消費される事態であり、また同時に資本と賃労働の関係をも再生産する事態であると考えられている。(再生産表式を参照)
[編集] 資本による再生産
資本主義経済においては資本は経済活動の主体であり、それ自体が資本の成長を目的とした再生産を行うとマルクス経済学では考えられる。資本の再生産では賃金労働者が労働過程で行われる剰余労働によって生まれる剰余価値が、まず利潤として株主の配当、役員の報酬、企業の留保利潤などの形態をとる。ここでさらに価値を増大させた資本がさらに資本利益を得るために投資を行い、さらに剰余価値を得ようとする。このように資本は拡大再生産、資本蓄積を繰り返すことで自己の価値を拡大する傾向にある。