刺し網
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
刺し網(さしあみ。刺網とも)は魚類を捕獲するための漁網の一種である。 浮き刺し網(うき―)、流し網(ながし―)、底刺し網(そこ―)、旋き刺し網(まき―)などの種類がある。 網は、目標とする魚の身体を捕えるのではなく、魚の頭部が網目に入り込むように設計されている。 頭部が一旦入った後、網目から出ようとする際に、鰓蓋(えらぶた)あるいは背びれが網に引っかかって逃げられなくなる。 通常は網目よりも小さな魚は無傷で網をすり抜けることが可能である。 しかしながら、多くの大きな魚が捕獲され、網がもつれている状態になってしまうと、小さな魚も捕えられることがある。 また、刺し網はイルカなどの海棲哺乳類やウミガメなどにとっては非常に大きな脅威となる。
刺し網漁は北アメリカの太平洋岸における漁法としては一般的な方法である。 刺し網は非常に効率の良い漁法であるため、刺し網の使用は関係機関によって管理監督されている。 網目の大きさ、縒り糸(よりいと)の強さ、網の大きさ(横幅と深さ)などは、混獲を防ぐために、厳密に規定されている。 特にサケ漁については、サケ以外の魚を捕えることは非常に少ない。 (Alaska Dept. Fish and Games)
1980年代においては、日本、韓国、台湾の漁船によって、流し網は非常に多く使用された。 厳密には網目のサイズに合わない生物は捕獲されづらいが、通過しようとする全ての生物を見境い無く捕獲してしまう可能性が高いとして、クジラやイルカの生態系への悪影響の懸念などのため、1993年、国連によって公海における流し網の使用が禁止され、現在に至っている。
[編集] 参考文献、外部リンク
- Mark Kurlansky, "Cod: A biography of the fish that changed the world," Walker and Company, New York, 1997.
- Manual on estimation of selectivity for gillnet and longline gears in abundance surveys 国連 Food and Agriculture Organisation による報告 2000年 (英文)
- Gillnet Fishing Canada's Digital Collections (イラスト付き。英文)