北陸鉄道モハ5000形電車
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北陸鉄道モハ5000形電車は、1950年12月に北陸鉄道初のクロスシート車として2両が広瀬車両で建造され、加南線に導入された電車である。 15m級で直接制御車のモハ1800形・1810形の中に同線初の17m級間接制御車として投入され、6000系・6010系の登場まで後続のモハ3200形・クハ1000形と共に同線の代表車として運用された。
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[編集] 車体
車体は半鋼製の非貫通張り上げ屋根構造で、窓配置はd1D22222D1d(d:乗務員扉・D;客用扉)で扉間に向かい合わせの固定クロスシートを備える、両運転台セミクロスシート車である。
窓はいずれも上部の隅にRが付けられた優美な造形で、ホーム高さが低いためにステップが設けられていて、路面電車のように車体裾のラインが扉部分のみ少し引き下げられている。
[編集] 搭載機器
建造当初の主制御器は手動加速制御器であるHL-74、主電動機は三菱電機MB-64C(端子電圧600V時定格出力37.5kW)を4基搭載、ブレーキはSME(非常弁付き直通空気)ブレーキ、台車はモハ1820形と共通のKT-10形ビルドアップ・イコライザー台車であった。なお、登場当初の集電装置はトロリーポールであったが、これは6000系の新造の際にパンタグラフに交換されている。
[編集] 転属と改造
6000系・6010系の登場で本形式は1964年に石川総線へ転属となり、この際、まず座席がロングシートに改造された。
1965年7月にモハ5001が制御器を電動カム軸式の東洋電機ES-152Bへ交換(更に後日、名鉄の廃車発生品のES-155へ交換)し、主電動機もTDK-516(端子電圧600V時の定格出力63.5kW)4基搭載にパワーアップされてモハ3750形モハ3751へ形式変更の上で改番された。残るモハ5002についても1966年2月の検査時に同様の改造を実施してモハ3752に改番、こちらは更に前面に貫通路が設置された。この貫通路については3751にも1968年に設置され、以後両車は1990年の7000系導入まで石川総線の主力車として使用された。
この間、1983年に3752が、1984年に3751が自社工場で車体更新工事を実施されており、骨組みを残して外板の全面的な張り替えが行われた結果、ノーシル・ノーヘッダーの平滑な車体となった他、窓枠のアルミサッシ化が施工された。また3752については窓割が元の配置のままで出場しているが、3751についてはd1D10D1dと扉間が均等配置に造り直された。
[編集] 現状
1990年の7000系投入とこれによる冷房化の実現で旧型車が淘汰された後も車齢が若く更新工事も施工済みであったため予備車として残されていたが、3751は2006年の7700系入線に先立ち10月下旬に搬出されて加賀市のnpo法人に無償譲渡され、休車状態で残存する3752もATS非装備のため本線走行の機会は絶望的であると言わざるを得ない。
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