単相3線式
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単相3線式(たんそうさんせんしき)とは、「単三」とも呼ばれ、単相交流電力を3本の電線・ケーブルを用いて供給する低圧配電方式である。50kVA以下の配電線・引込み線、短距離の構内幹線などに用いられる。
単相変圧器二次側の中間点から電圧のかからない接地された中性線と、両端の端子から位相が逆の対地電圧100Vの電圧がかかった電圧線2本とを引き出し、電圧線同士を接続して200V負荷に、電圧線と中性線を接続して100V負荷に供給する。単相2線式と比較すると同じ電力を送るのに電線の量が少なくて済むので経済的である。
ただし、100V負荷が両電圧線に不均一に接続されていて、なんらかの理由で中性線が欠相すると、軽負荷側の電圧線と中性線間の電圧が上昇し、100V機器に200V近い電圧がかかって焼損する恐れがある。これを回避するため、以下の対策が行われる。
- できるだけ100V負荷を両電圧線に均一に接続する。
- 100V負荷をすべて同一の相に接続する(片寄せ配線、不平衡負荷の制限の例外)。
- 中性線はヒューズを入れず銅バーを付ける またタイマー連動などで電磁接触器を用いる場合は中性相は接点を通さないで直送りする。
そのほか単相3線式専用ブレーカでは中性相は素通りでかつ端子ねじが2点締めされている
- 負荷の不均一が大きい場合は、1対1の巻数比の単巻変圧器を利用したバランサーを末端に取り付ける。
- 中性線欠相の時に自動的に回路を遮断する中性線欠相保護機能付遮断器を幹線に設置することが望ましい。
電気設備技術基準の解釈第162条第2項では、例外を除き住宅の屋内電路での対地電圧を150V以下とすることが決められている(同第272条に基づきIEC 60364により施工する場合はこの限りではない)。単相3線式で得られる実効値の最大105V最低95Vの対地電圧はこれを満たしている。
1980年代以降、一般家庭でも電力使用量が増える傾向にあり、200Vの電気機器が設置されることが増えている。家庭用の200V機器の例としては、高出力のルームエアコン・電熱利用の乾燥機・クッキングヒーター・電気温水器などがあげられる。