名のり (志摩市・祭り)
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名のり(なのり)は三重県志摩市大王町波切地区に古くから伝わる行事の一つである。
名のり船頭が、中学生以下の子供を連れ家々を回り新年の到来を告げる。新年の餅はこの行事が家にて行われないと焼くことができない。
大晦日の夜、志摩の国漁協波切支所にて複数の名のり船頭と子供達が集まり、伊勢音頭を歌って行事が始まる。この時の伊勢音頭は当地にアレンジされているものである。次に全体で名のりをあげる。
この後、子供たちは樽と俵を手に持ち、赤い半被を着て「出口大明神」の札が書かれた提灯を持つ船頭に付き添われ、各地区に分かれて家々を回る。
「ホロイサー」などのかけ声と共に道を歩き、各家はこの声が聞こえたら玄関を開け家族総出で、また、旅館では観光客が出迎える。家の前にて以下の掛け合いを行う。各家は餅等を渡して終了となる。
回り終えたところでグループ毎に漁協、または船頭の自宅、親戚などにて、貰ったお餅などを分配する。過去には蜜柑なども一緒に各家から出たため、子供一人当たり4、50個の蜜柑を分配されることもあった。
船頭一同はこの後、再度漁協に集まり、注連縄切り、火祭り神事を行う。
古い注連縄を燃やし、竹竿で魚を釣るような動作で火勢を煽る。このとき火が高くなればなるほど豊漁になるという。
その後、竹竿の火を船に持ち込み船を清める。燃え残った竹竿は残り火は「ジングサンさんへあげる」と唱え海に投げ込む。「ジングサン」の意味は定かではないが、「海神」である可能性が指摘されている。