善玉悪玉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
善玉悪玉(ぜんだまあくだま)とは、人の心の善悪を擬人化したキャラクターである。
善人は○を顔として、そこに善の一字を描いて善玉、悪人は同様に悪の一字を描いて悪玉と表現する。善悪二元の図式をきわめて即物的に表現した設定であり、転じて、小説や映画等の登場人物の中で善人を善玉、悪人を悪玉と呼ぶようになった。
現代の「善玉悪玉」の多用例では、人体の健康に良い影響を及ぼすとされる腸内細菌(ビフィズス菌など)を善玉菌、悪い影響を及ぼすとされるもの(ブドウ球菌やウェルシュ菌など)を悪玉菌と図式化して表現する例がある。同様の趣旨で、コレステロールを善玉コレステロールと悪玉コレステロールに分類することがある。
[編集] 由来
善玉悪玉の初出は寛政の改革の時流を背景に1790年(寛政2年)に出版された山東京伝作の教訓的草双紙『心学早染草』とされる。
この本の挿絵では、心の葛藤を善玉と悪玉が左右の腕を引き合うことで表現している。善玉が一人で引いているのに対し悪玉は三人で引いており、悪玉が優勢であることが判る。(詳細は下記外部リンクを参照)
後にこの善玉悪玉をキャラクターに起用して歌舞伎舞踊「弥生の花浅草祭」(通称「三社祭」 1832年初演)が創作された。善玉悪玉が愉快に踊りまくる姿は「悪玉おどり」と呼ばれて庶民に大受けし、「善玉悪玉」の呼び名を定着させた。この舞踊自体「善玉悪玉」と呼ばれることもある。