夏侯恩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
夏侯恩(かこうおん、? - 208年[演義のみ])は、『三国志演義』にのみ登場する曹操麾下の武将。
曹操の側近として登場し、曹操より寵愛を受け、宝剣である青釭の剣[1]を預かっていた。長坂で劉備を追撃した際に、乱取り(用は略奪)を行っている途中趙雲とぶつかり、槍で突き殺され、青釭の剣を奪われてしまった。
『演義』によっては、夏侯惇の弟(正史では「夏侯廉」)だという。もちろん、フィクションである。おそらく元禄年間の日本に羅貫中(羅本)の著本が伝えられ、それを目につけた自称・文学者の湖南文山(これはペンネームで実際は京の天竜寺の僧侶の義轍と月堂兄弟のことらしい)が通俗三国志を著し、本来の三国志の内容を改竄したと思われ、夏侯恩が夏侯惇の弟として設定されたと思われる。なお吉川英治もこの「通俗三国志」を参考にして日本風にアレンジしたといわれる(他には夏侯徳や韓浩がわかり易い例である)。 ちなみに夏侯廉で伝わる正史では夏侯惇の死後、烈公に奉じられたと記され、何を行ったかは記されていない。
[編集] 脚注
- ^ 「倚天の剣」と対を成す。『天地を喰らう2・赤壁の戦い』にも登場する。作中での表記「青紅の剣」は誤りである。