大局観
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大局観(たいきょくかん)とは、
[編集] 概要
将棋では、全体の形の良し悪し、攻め手の有無などを常に意識しなければならない。これを判断する能力のことを言う。大局観に優れると、効果的なタイミングで攻めや守りの手を打つことができるほか、駒がぶつかっていない場所からの意表を突く攻めや守りも可能となる。お互いの駒組みや持ち駒などを比較して、力強い攻め手を指すことにも役立つ。反対に大局観が備わっていなければ、盤上の一部での駒のぶつかり合いや損得しか考えられなくなる。
囲碁の大局観には二つの意味がある。一つは、囲碁の勝ち負けは将棋のように王将を落とした時点で終わるというわけではなく、人生や仕事のように、序盤・中盤・終盤で蓄えや稼ぎ(地)も変わるし、敵と大きな差があるときも、それほど差がないときもある。最終的には大勝であっても半目勝ち(最小の勝ち方)であっても、勝ちは勝ちなのだから、それぞれの時点で自分が今どの程度有利不利にあるのかを見極めて、手堅く安全策をとったり、勝負に出たりする必要性がある。
もう一つは、囲碁では19路盤という比較的大きな盤を使うので、個々の箇所で攻防をしているときは基本的にその箇所に双方の手が集中することになるが、上級者になるほど盤全体に相乗的な効果(シナジー効果)が期待できる手が打てるようになる。また、囲碁は将棋と異なり一度打った手を後に動かすことはできないので、序盤に打った一手が中盤・終盤で効果的に生きてくる(生かすことができる)こともある。このように、囲碁では、部分的なせめぎ合いににとらわれずに、常に盤の全体像やゲームの進行を見極めて次の一手を決める必要があることを「大局観」という。