必至
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必至(ひっし、必死とも)とは、将棋において、王手はかけられていないが、次にどの手を指しても自分の玉将が詰まされる状態のこと。また、次に何もしなければ詰みになるが、詰みから逃れるための受けの手がある状態を詰めろ(つめろ、詰めよとも)または一手透き(いってすき)という。必至は詰めろの一種で、詰めろのより強い状態であるといえる。
[編集] 概要
必至をかけられた側は、相手の玉将を詰ませない限り負けとなるので、王手の連続で詰ませにいくか、その場で投了を選択することになる。例外として、王手をしながら必至に絡んでいる駒にも両取りを試みて、必至に絡んでいる駒を取って必至を解除する手も存在する。
「長い詰みより短い必至」という格言もあり、自玉に詰みがない場合は、相手玉を詰ませにいって逃れられるリスクを冒すよりも、確実に受けのない状態に追い込むほうが確実である。
「次にあなたの玉を詰めるから、その前にこちらの玉を詰めてみろ」から、「詰めろ」という表現が生まれたといわれている。
右の図は次に▲2二金(または▲3二金)で詰みとなるので、詰めろである。後手はこれに対し何らかの受けの手を指さなければならないが、どう対応しても詰みから逃れることができない。
- △3一銀、△3一金 …… ▲3三桂まで
- △2二金、△3二金、△3二飛 …… ▲3三桂 △同金(飛) ▲2二金、または▲3三桂 △3一玉 ▲4一金まで
- △4二飛 …… ▲3三桂 △3一玉 ▲2一金まで
- △5二飛 …… ▲3三桂 △3一玉 ▲4一金まで
つまりこの状態は必至である。