手数料詐欺
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[編集] 概要
主にインターネットオークションを利用した個人売買において、配送料や手数料をだまし取る詐欺。
ただし多くの場合、発送人と受取人の見解の違いや手違いなど些細な原因によるものが多く、被害者側が詐欺にあったと主張する多くの事例では詐欺罪としては成立要件を満たしていない。
このトラブルのはインターネットを通じた個人売買やオークション(特に個人間での取引)で起こりやすい。
[編集] 手数料トラブルの分類
多くはインターネットを通じての個人売買やオークションにおいて、売り手と買い手の間で配送方法と料金、それに付随する手数料をめぐり発生する。ほとんどのケースでは契約段階で送料や手数料の負担がどちらにあるか明記されていれば回避できる。 しかし、「商品価格に送料○○円を加算します」という表現が、実費のみの請求なのか、それとも手数料を含む金額なのかなど、曖昧な表現がされていることでトラブルとなりやすい。
手数料詐欺が詐欺として成立するには、契約内容が明確でそれに対し明らかに違反していることが前提条件になる。
- 「500円の送料がかかりエクスパックで発送する」という契約だったにもかかわらず、300円の別の発送方法で送られて来た場合
- 「発送は実費で行います」という契約だったにも関わらずそれ以上の金額を支払わされた場合
などは、故意であれば詐欺に該当する可能性がある。
一方、契約時の表記が明確でない場合には状況によるが、ここでは一般的と思われる認識を示す。
- 売買契約後に手数料を請求するケース
- 売買契約の際には明記しなかった手数料を請求する場合、あきらかに不当ならば詐欺にあたる可能性がある。
- 送料実費については、売り手側と買い手側の住所が明らかに遠い場合必要になるのは明白で詐欺にあたるどうかは微妙だが、オークション管理者がガイドラインや利用規約で出品時に送料を明記するよう取り決めている場合などにはこれに従う必要がある。
- 配送会社の持ち込み割引に関するケース
- 例:日本郵政公社などでは荷物を持ち込んで配送を依頼する場合100円割引きになる。この差額を発送人が受取人に返還せず、自分で受領してしまった。
- これは評価が分かれるが、おおむね発送人がもらうべきという意見が強い。根拠としては、受取人は正規送料を支払うのは当然で、発送人が労力を割いて持ち込んだ以上発送人が享受すべきと考えられるため。
- 下に示した「実際の配送料金よりも高い配送手数料を取るケース」も参照のこと
- 配送方法が事前に取り決めた内容と異なり、差額が発生するケース
- 例:配送会社A社で配送する契約だったが、実際にはB社で送られ、さらに料金もB社の方が安かった。
- 配送方法が事前の契約と異なる場合、契約の不履行となる可能性がある。
- またこれにより差額が発生した場合は当然請求できると思われる。
- 発送人が故意に受取人をだまし不当な利益を得る目的で配送方法を変えた場合は詐欺に当る可能性がある。ただし意図せぬ手違いややむをえない事情により配送方法を変えた場合は詐欺にはならないが、この場合も差額が発生すれば返還する必要はある。
- 実際の配送料金よりも高い配送手数料を取るケース
- 例:配送手数料1000円での契約だったが、実際に利用された配送会社の料金を調べると800円しかかかっていなかった。
- 売買契約時に1000円請求されることを明記してあったならば詐欺には当らない。
- 実際の配送には実費に加え、梱包材などの材料費・梱包や出荷などの人件費がかかるため、配送人がこれを手数料に含めることにはなんの犯罪性もない。
- ただし売買契約前に配送手数料を取らないことを明記した上で契約したにもかかわらず配送手数料を請求した場合は詐欺になる可能性がある。
- また、指定された方法で配送することを前提に契約し、そのとおりではなかった場合は詐欺あるいは契約不履行になる可能性がある。
- とりあげた例において、配送料金の実費を請求する、という契約だった場合は差額を返還しなければならないと考えられる。
[編集] トラブルになる要因
インターネットでの企業間・個人売買・オークションなどは現在広く行われているが、この手数料詐欺問題はネットオークションで起こりやすく、なかでも個人対個人の取引が多く占めるため、売買形態の性質に原因があると考えられる。
- 落札者の問題
- 個人売買であるにも関わらず、企業並みのサービスを期待している
- 商品の梱包や発送に関して、人件費・材料費など経費が発生することを理解できていない
- 実際には詐欺に当らないものを感情に任せて一方的に詐欺と呼び非難してしまう
- 出品者の問題
- 手数料に関する意識が低く、曖昧なまま、あるいは明記しないまま出品してしまう
- 提示した方法と違う方法で配送してしまう・送料を誤って表記するなどのミス(全ては防げない部分もある)
- ネットオークションに対する理解の不足
- オークションが個人での売買契約であることを両者が理解していない
- 「入札=契約内容の了承」という概念が一般にわかりにくい
また、ネットオークションのシステムそのものの問題点として、
- 管理者が決めたルールと法に差があり、認識・解釈が異なることがある
- 犯罪までには至らないトラブルに対して、管理者が両者を裁いたり制約を課すことが難しい
[編集] 被害に遭った場合の注意
手数料詐欺にあったと感じたら、まずは状況を整理する必要がある。
- 配送方法が契約内容に明記されているかを確認
- 発送者に連絡を取り、差額の返金などに応じてもらえるかどうかを確認
- 後の問題に備え、メールやオークション画面などを保存する
詐欺罪が成立するためには、少なくとも以下の要件を満たさなければならない。
- 相手を勘違いさせて(あるいはだまして)利益を得ようとする行為であること
- 相手が勘違いした(だまされた)状況に陥ること
- だまされた側が自分の意思で財産を処理すること
- その財産が第三者にわたること
1から4の因果関係が認められた上で、だました方の故意が認められなければならない(正確には詐欺罪の項目を参照)。
詐欺である場合の対処方法としては、以下のことが考えられる。
- オークション管理者への報告。(ただし管理者は法的な行動がとれないケースが多い)
- 民法上の契約不履行を理由に返金要求する。
- 警察に詐欺として被害届を提出する。
オークションの画面や付随する掲示板・質問欄、その後のメールや会話などが証拠となるため、可能な限り保存しておく。
この手の詐欺に対する警察側の対応は鈍いことがある。理由としては以下が挙げられる。
- 1人あたりの被害金額が少ない(詐欺の特徴でもある)
- 詐欺という犯罪自体の捜査優先度が低い(窃盗よりも下である)[要出典]
- 商品自体は届いているので問題は無いと判断される。
- 詐欺ではなく相互の勘違いの域を出ないと考えられる。
[編集] その他の注意点
ネットオークションなど小規模取引での手数料詐欺は、被害者側に正常な判断力があれば、1件につき数百円にも満たない収益しかあげられない。そのため十分な利益を出すには長い時間をかけて繰り返し取引をする必要がある。純粋な個人売買では大量の取引をするのは難しく、一方オークションや個人売買のコミュニティでは取引についてお互いに評価するシステムや情報交換の場があるため、詐欺を続ければ評判を落とし、繰り返し取引をすることが難しくなる。その結果わずかな収益しかあげられない。このようにこの詐欺は収益効率が非常に悪く、方法に矛盾を抱えているため詐欺として成り立ちにくい。
また一般的な多くの詐欺が一人数万円から数百万円の規模で行われることを考えると、わざわざこの方法を選んで詐欺を働く人間が多数いるとは考えにくい。
そのため、すぐに詐欺を疑わず冷静に状況を確認する必要がある。
また以前の「手数料詐欺」の項目は被害者の主観に基づいており、あまりにも多くの誤りを含んでいたため、抜粋のうえ訂正しておく。
- 概要欄より抜粋「通常の発送にかかる料金以外に手数料などと偽って金銭をせしめる行為」契約時に手数料を取ることが明記してあればこの行為そのものに違法性はない。
- 差額の返還義務欄 引用してある民法の条項が適当ではない。
- 手数料詐欺出品者の特徴欄 欄そのものが客観性を欠き、根拠がなく、誹謗中傷に終始している
- 同欄より抜粋「出品者が詐欺行為と自覚している者が少ない」当然ながら行為者に自覚がない場合詐欺罪は成立しない。
- 事例欄より抜粋「差額分320円の返金を求めたが手数料と言われた。 送料はメール便で1000円と言われたが実際調べてみると80円だった」この文章だけでは詐欺に該当するかどうか断言できない
以前までの記載を参照した閲覧者は再度確認していただきたい。
相手が優良な売り手ではないことと、詐欺師であることは、明確に区別される必要がある。
以前の項目の例でもわかるように、多くの事例では落札者側の感情に任せた一方的な中傷がされるため、自分がそのような勘違いに陥っていないか、正しい法律知識があるかなど十分な確認を要する。当事者になると冷静な判断が出来なくなることもあり、相手を非難する前に周辺の人間やオークションの管理者の運営する掲示板などで相談すると良い。一方的な非難をすれば逆に名誉毀損などで訴えられることも考えられる。
[編集] 「手数料詐欺」の別の用法
以上で述べた「手数料詐欺」とは全く関係がないが、銀行などのATMで預金の引き出しや振込などを行う場合、場合によっては時間外手数料や他行利用手数料、振込手数料などが請求されるが、標準的な銀行では時間外手数料や他行利用手数料は引き出し額にかかわらず一定であり、振込手数料も3万円を境界とする2種類しかないため、少額の引き出しや振込を行うと、引き出したり振り込んだりした金額に比べて手数料がボッタクリともいえるほどに過大になる。これを揶揄して「手数料詐欺」ということがある。
[編集] 外部リンク
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