放射冷却
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放射冷却(ほうしゃれいきゃく)とは、高温の物体が周囲に電磁波を放射することで温度が下がる現象のことである。
日本では、冬季のよく晴れた夜間に放射冷却による気温の低下が発生することが多く、天気予報では放射冷却による低温に注意する旨の呼びかけが行われる。そのため単に放射冷却と言った場合には、気象としての現象を指すことが多い。
[編集] 気象
絶対温度が零度ではない全ての物体は、プランクの法則により電磁波を放射している。電磁波を放射している物体は温度が下がり、他から放射を受けた物体は温度が上がる。
昼間、太陽の光が地表面に当たっている時、地表面は太陽放射を受けて温度が上昇する。逆に夜間は、地表面から宇宙空間に向けての放射があり、地表面の温度は低下する。このとき、大気中に雲が存在すると、雲に含まれる水蒸気により放射の一部が反射されて地表面に戻ることにより、地表面の温度低下が妨げられる。一方、大気中の水蒸気が少ないよく晴れた夜間には、地表からの放射はそのまま宇宙空間に放出されるため、地表付近の温度が低下しやすい。この状態を放射冷却と呼ぶ。