数値風洞システム
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数値風洞システムは航空宇宙技術研究所が研究用に構築した数値シミュレーション専用のコンピュータシステム(スーパーコンピュータ)である。
同研究所は、1960年以来、数値シミュレーション技術の研究開発に取り組んで来た。 1977年には、ベクトル型のスーパーコンピュータの原型である富士通FACOM230-75APを導入した。1987年には、航空宇宙技術研究所の特別発注により開発された富士通VP400を中核とする第1期数値シミュレータNSI(Numerical Simulator I)を導入した。
また、80年代には新たな並列計算機の研究開発が開始され、1993年には、第2世代数値シミュレータNSIIとして、世界初の分散主記憶型ベクトルスーパーコンピュータ「Numerical Wind Tunnel(NWT)」が稼働を開始した。 NSIIでは、100万格子点規模の粘性流計算を10分程度で行うことを可能としたが、それでも導入後3年目以降には稼働率90%という状態が続き、航空宇宙における計算需要を十分に満たせなくなった。
現在稼働中の第3世代の数値シミュレータNSIIIは2002年に導入されたもので、128個のCPUを搭載した「富士通PRIMEPOWER(プライムパワー)」14台を超高速インターコネクトInfiniBandで接続することにより、従来システムと比較した演算性能は30倍以上(論理ピーク値9.3TFLOPS)、主記憶容量は80倍以上(3.6TB)と、大幅に処理能力が向上している。
航空宇宙技術研究所はJAXA総合技術研究本部として統合されたが、数値風洞システムは、JAXAの中核的なスーパーコンピュータとして運用されている。
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カテゴリ: スーパーコンピュータ | 計算科学