新体道
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新体道(しんたいどう)は、青木宏之を創始者とする、人間の潜在的身体能力を開発することを目指す体術。からだに自然性を甦らせ、こころを開放し、人々と融和しつつ、真の自由を得ることを体技の目的としている。武道の技のほかに、団体稽古に特化した稽古体系を持ち、号令術がある。そのほか一般会員向けではない技術体系も備えている。
新体道が目指す宇宙の真理・大自然・そして人々と一体化した境地を心身の0化(しんしんのぜろか)という。0化の境地では己の意識をある状態にしただけで触れずに相手を倒す「遠当て」「真空切り・突き」「光と戯れる」などの技が可能になる。心身の0化とは、それまで積み重ねてきた知識、固定観念、習慣などを全てを捨て去り本来の自分に還ることである。それを実現するための新体道の稽古方法は三つに分類される。
- 開放体(心身を柔らかく開放し気を発する)
- 養気体(心身を柔らかく解きほぐし気の流れを開発する)
- 自護体(気を内に充実させ攻防をきわめる 重いものを持ってがんばるようなときの体)
- 正立体(上の三つを併せ持ちかつ超越している)
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[編集] 基本
新体道の三大基本は天真五相(てんしんごそう)・栄光・瞑想組手である。天真五相は青木が考え抜いた末に編み出した行法、栄光は青木に天からの啓示のようにインスピレーションとして与えられた行法である。二大基本として天真五相・栄光という場合もある。
[編集] 天真五相
青木は師、江上茂の指示により空手道型全集を編集し、空手のあらゆる型を集めた。その中から攻防に役立ち、能力開発になり、健康が増進できる型を抽出し、さらに密教、神道などの行法をも取り入れてシンプルでいながら究極の効果がある型を作り上げることを目指した。それが天真五相である。武道だけではなく弁論、演劇、音楽の練習の基礎ともなる。掌をいっぱいに開き、天地と呼応するかのように大きな声で母音を発しながら行う。 ウンの世界とアの世界が四つに分化していくことを象徴する。
- 礼 無になり自分を消し、宇宙と自分の壁を取り払う。
- ウンの母音を発しながら手を無想印に組んで足をぴったり閉じられる人は親指まで閉じ閉塞立ち。意識を下
- へ下へとおろす。
首-頚椎-肩-胸椎・胸骨-腹-下腹-太腿-ふくらはぎ-足首-足の裏-大地の下-地下があると思って地下一
- 階-二階-三階-下へ下へとおろしていきます。
- アの母音を発しながら手を後方から真上へと上げてゆく。そして心身が伸びきったまま (混沌の闇からの
- 誕生・理想の追求)
- エーの母音を発しながら八の字を描くように手を切り下げてゆく(力を凝縮した後、自分の人生や運命を切
- り開いてゆく)横に、たてに、斜めに切るという動きをすべて一度にやるつもりで切る。
- イーの母音を発しながら左右に円を描くよに斜め上方へと手を押し出してゆく(開かれた世界を自分でコント
- ロールする)
- オーの母音を発しながら上から後方、前へと包み込むようにまわしてゆき、掌をすくいあげるようにする(暖
- かい心で森羅万象を包み込み、捧げる)このとき状態を後ろへ反らさず前掛になるつもりですべてを包み込む。
- ウン-最初の姿勢に戻り、深い瞑想の境地へと入ってゆく(元の無に還る)足を指先まで閉じ、手は触るか触ら
- ないかぐらいで無想印を組む。
- 礼
[編集] 栄光
アーの母音を発しながら天に伸び上がり、手を前方へと差し出しながら力の限り走ってゆく。全身全霊で宇宙の真理を求める行法である。「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くしてあなたの神を愛せよ」「おのれを愛するが如く隣人を愛せよ」というキリスト教精神を身体で表現した型だという。命名はダビデの詩篇より。
[編集] その他の行法
- 天真柔操
激しい稽古にすぐさま入れるよう、健康体操としても有効なように設計された独自の体操。すべてが強力な武術の技である。
- 棒体操
- ジャグラ(ジャグラー)棒
- 持ち替え
- 制定補助または心身開発
- 開脚前進大 剣・棒付き・棒二本 斜め上方に視線を向けながら膝を左右にできる限り開き摺り足で腰から出るようにし前進する。得物を持つ時は証光
- 跳びのように膝から下の筋肉で跳ぶのではなく、体全体で遠くに跳ぶことが肝要。
- 開脚前進小 大の状態から腰を落とす。
- 新体道ジャンプ・連続反り飛び
- しゃがんだ状態から前を見て、体全部を開きつづけるようにして飛ぶ。
- うさぎ跳びだと膝をすぐいためるが、足腰を鍛えるいい方法なのでこの方法に改良した。
- 瞑想ジャンプ 組み手 投げ
- しゃがんだ状態で全身でまりのように飛ぶ。一瞬で深い瞑想状態に導く。
- 両足双蹴り前・横・補助つき
- 両足で前を蹴ったり横を同時に蹴り上げたりする。滞空時間をのばした感覚を味わうため、補助者に支えてもらう。
- 青空体操・大気舞
養気体と開放体をつなぐためにある体操。青木が50代になってから考え出した。
- 瞑想組手
- ワカメ体操
- 光と戯れる
- 呼吸法
- 北辰呼吸法
- 包天
- 大妙 10年ほど前の国際大会にて発表。荘子の大妙思想より。
- 一部
- 二部
- 三部 北辰呼吸法など
- 養気体天真五相
[編集] 新体道武術
武術本来の「殺すか殺されるか」の境地では人は極度の緊張におかれるものであるが、力んでは人間本来の能力が発揮できない。新体道では武術においても身体をほぐしリラックスすることで能力が一気に開発されるとする。
新体道では力んだりキメたりすることがない。筋肉を部分として機能させるのではなく、全身をひとつの呼吸で統一して動くこと。柔らかく流れるような動きで技をくり出すことが重視される。 すべてについて切り込みと斬り払いに分類し斬るという動きに集約することが効く技につながるとする切込み切り払い理論がある。最終的にはすべて切り込み・栄光に集約される。
新体道武術には空手、柔術、棒術、剣術、杖術、殺到(闘)術がある。
新体道武術の技一覧
[編集] 技
すべての技が天真五相の一部になっている。
[編集] すべてに共通する技
- 上段受け
- 下段払い
- 上段本突き
- 中段本突き
- 天地斬り下ろし
- 天地斬り払い
[編集] 空手
- 前蹴り 蹴込み・蹴上げ(空手)
- 横蹴り 蹴込み 大きく分けて、体重を浴びせるタイプと、腰の軸を変化させてけるのに分かれる。
- 廻し蹴り 蹴込み
[編集] 柔術
- 怒涛(柔術)
- 外無双(柔術)
- 膝回し(柔術)
- 後肩引落(柔術)
- 一本背負落(柔術)
- 大平原(柔術・棒術)
- 山嵐(柔術)
- 小手返し(柔術)
[編集] 剣術
- 統一基本技125本
[編集] 杖術
- 本手打ち
- 逆手打ち
- 返し突き
- 逆打ち本手突き
[編集] 棒術
- 虎飜受け 二匹の虎が戯れあっている様子から(棒術・空手)
- 龍飛受け 二匹の龍が戯れあっている様子から
- 手繰り突き
- 諸手突き
- 手繰り諸手突き
- 流れ一文字 全方向に意識を集中する訓練にもなる
- 振り回し
- 松風打ち
- 牽制
- 上段打ち 前後に意識を伸ばす訓練に有効
- 中段打ち
- 下段払い 上から叩き込むタイプと。地面を掃くようにするタイプがある。
- 遊動突き一・二
[編集] 棒術投げ技75本
青木は神秘体験によって棒術の投げ技を75本思いついた。特に棒術はしっかりとした体系を持っている。 そのうち難しい名前のない25本は青木宏之自身忘れてしまっているが、時々思い出す。 25本は技が使いにくく、機動力が要求される。
- 開弾き
- 翔天
- ベアークラッシュ
- 大平原
- 纏落とし
- 山嵐
- 怒涛
- 大稲妻
- 早瀬上り
- 花弁返し
- 腿刈り
- 山彦
- 雷
- 仰ぎ返し
- 大外刈り(内・外)
[編集] 型
新体道の型は
- 全く力を入れない
- 栄光の気持ちで。
- 不動立ちは出来るだけ腰を落とす。
[編集] 棒術
- 火の型(初心者用)
- 水の型
- 風の型
- モーセの棍(五段審査の型)
- 佐久川の棍
- 白樽
- 真常(大・小) 棒術の型の中で、演じて一番見栄えがする。
- 従来あるものを大井主席師範と石井師範代が改定したもの
- 花霊の棍
- 竜虎の棍
- 俊風の棍
[編集] 空手
- 太極・小
- 太極・大
- 太極・蹴り
- 平安一・二・三・四・五段
- 鉄騎
- 慈恩
- 遠征鎮
- 三戦
- 岩鶴
[編集] 杖術
- 流転
- 豊穣
- 大志
[編集] 剣術
- 一か条
- 二か条
- 三か条
- 四か条
- 五か条
- 六か条
- 七か条
- 八か条
- 九か条
- 三人一列 一番難しい稽古である。
[編集] 天真自由滝行
宗教色をすっかり薄めた、ストレス解消健康維持に効く現代人のための滝行。 修験道などと違い入滝儀式を短くし、実際の入滝では全身を滝の中に入れる。
[編集] 瞑想
- 立位十位瞑想法