日の名残り
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「日の名残り」(The Remains of the Day)は1989年刊行のカズオ・イシグロの小説。ブッカー賞を受賞した。
1993年にジェームズ・アイヴォリー監督で映画化された。
[編集] あらすじ
物語は1950年代と1930年代の回想シーンと折り重なって進められる。
第二次世界大戦が終わって数年が経った「現在」、執事スティーブンスは新しい主人ルイス氏の勧めでイギリス西岸のクリーヴトンへと小旅行に出かける。前の主人ダーリントン卿の死後、親族の誰も彼の屋敷ダーリントンホールを受け継ごうとしなかったのをアメリカ人の富豪ルイス氏が買い取ったのだが、ダーリントンホールでは深刻なスタッフ不足を抱えていた。幸いな事にかつてダーリントンホールでともに働いていたのベン夫人が現役に復帰したいとの申し込みがあったので、この問題を解決するために彼女に会いに行くのだ。しかしながら彼にはもうひとつ解決せねばならぬ問題があった。彼のもうひとつの問題、それは彼女がベン夫人ではなく旧姓のケントンと呼ばれていた時代からのものだった。
そしてその今は過去となってしまった時代、スティーブンスの知らないところでもうひとつのドラマが展開されていた。彼が心から敬愛尊敬するかつての主人、ダーリントン卿はヨーロッパを再び第一次世界大戦のような惨禍に見合わせないように、また戦後ヴェルサイユ条約の過酷な条件で経済的に混乱したドイツを救おうとナチスドイツ政権とイギリス政府を宥和させようと画策していた。