有理型関数
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数学において、有理型関数(ゆうりけいかんすう、meromorphic function)あるいは、関数が有理型(ゆうりけい、meromorphic)であるとは、複素数平面あるいは連結リーマン面のある領域で定義され、その中で極(仮性特異点)以外の特異点を持たない解析関数(特異点以外では正則な関数)のことを指す。
有理型関数は正則関数の商として表され、その分母となる正則関数の零点がもとの有理型関数の極となる(分母は定数関数 0 にはならない)。
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[編集] 例
多項式関数は正則であるから、たとえば f(z) = (z3 − 2z + 1) / (z5 + 3z − 1) のような有理関数は全て有理型である。また、関数 f(z) = exp(z) / z や f(z) = sin(z) / (z − 1)2 も有理型で、ガンマ関数 やリーマンのゼータ関数も同様である。
一方、対数関数 f(z) = ln(z) や f(z) = exp(1/z) は有理型でない。たとえば後者は z = 0 に真性特異点を持つ。
[編集] 性質
- 閉領域上で定義される有理型関数は、零点も極も有限個しか持たない。
- 解析接続を使って除きうる特異点を解消してやれば、有理型関数同士で四則演算をとったものはやはり有理型である(もちろん除法に関して、定数関数 0 で除することは除く)。 したがって、(同じ領域で定義される)有理型関数の全体の成す集合は体を成す。この体は複素数体の拡大体である。
[編集] 言い換え
リーマン面の言葉で言えば、有理型関数というのは、「リーマン球面への正則関数であって、常に ∞ の値をとる定数関数ではないもの」ということと同じである。このとき有理型関数の極とはリーマン球面の無限遠点 ∞ へ移される複素数のことである。