有限要素法
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有限要素法(ゆうげんようそほう、Finite Element Method, FEM)は数値解析手法の一つ。構造力学分野で発達し、他の分野でも広く使われている手法。
- 解析対象領域内で成り立つ方程式に対してある重み関数の積を施し、それを領域内で積分した弱形式を形成する。
- 解析領域内部をさらに小さな有限範囲の「要素」に分割する。一般的に、要素はその境界に節点が配置され、要素内部の場は各節点に対応する形状関数と節点の値の積の和として表現される。(この事により、使用する形状関数には一定の制限がある。)
- 解析領域全体の弱形式は積分で表されるため、各々の要素内の積分の総和としても表す事ができる。そのため、各要素の各節点における未知数に対してこの積分を適用する事で各要素のマトリクス(連立一次方程式の左辺行列)を作成する(未知数は変位、速度、圧力など。右辺ベクトルも同時に形成される)。
- 次に、各要素におけるマトリクスの総和を施す事で領域全体のマトリクスを作成し、解を求める事ができる。
- 線形問題、非線形問題、動的解析など、様々な解法がある。
- 全体のマトリクスは一般的に粗行列となるため、使用記憶領域削減/解析速度向上のため、様々なソルバーが存在する。
[編集] 構造解析分野
対象の構造に外力が加わって変形する場合等を解析する際、構造解析には大きく分けて、変位を未知数にとる変位法と応力を未知数にとる応力法があるが、有限要素構造解析では変位法が主流である。
[編集] その他の分野
構造解析では、使用している式に意味づけをしているが、その他の分野では手法として使用する事が多い。電子状態計算(→実空間法)、電磁場解析、流体解析等、微分方程式で記述されるあらゆる場の問題に適用可能で、近年ではそれらの連成解析(流体構造連成、電磁場構造解析など)も盛んに研究されている。