条件
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条件(じょうけん)とは、法律行為の効力の発生・消滅を、将来の発生が不確定な事実にかからせる付款またはその事実である。
法律用語としての条件は、 (1)その条件が客観的に明確なもので (2)実現の可能性があり (3)公序良俗に反しないもの でなければならない。 条件としては認められない例としては、 (1)については「いいものをくれたら」など、 (2)については男性に対し「妊娠したら」など、 (3)については「人を殺したら」など、 があげられる。 これらの条件が付された契約は、条件部分が当然に無効とされ、条件にかかる行為のみが単純に有効とされる。
なお、将来の発生が不確定な事実にかからせる付款またはその事実を期限というが、ある付款または事実が条件であるか期限であるか見解が分かれる場合もある。
[編集] 条件の種類
- 停止条件
- 停止条件(ていしじょうけん)とは、ある法的効果が予定されているが、その発効が特定の条件の成就まで停止されていること。しばしば例として挙げられるものとしては「大学に合格したら、腕時計を買ってあげる」という約束がある。この場合、「腕時計を買ってあげる」という法律行為が、「大学に合格したら」という仮定の条件によって停止されている、ということになる。
- 解除条件
- 解除条件(かいじょじょうけん)とは、既に発生している契約の効力を失わせるための条件。例えば、「代金支払いが滞った場合には、買った物を返還する」という場合、「代金支払いが滞る」という事実が解除条件である。
- 既成条件(民法第131条)
- 法律行為時にすでに成就している条件のことをいう。停止条件のときは、条件とする意味が無いので法律行為は無条件となり、解除条件のときは、すでに法律効果が消滅していることになるから法律行為は無効とされる。また、条件が成就しないことが確定している場合、停止条件のときは、条件が永久に成就せず効力が生じることはないので法律行為は無効となり、解除条件のときは、条件が永久に成就せず効力が消滅することはないので法律行為は無条件となる。
- 不法条件(第132条)
- 法に反する条件のことをいう。違法なことを条件とするのは、法律上効果を認めるわけにはいかないので無効とされる。また、同じ理由で、不法なことをしないことを条件とすることも同じく無効となる。
- 不能条件(第133条)
- 客観的に成就することがありえない条件のことをいう。条件が成就しないことが確定している場合と同じように、停止条件のときは、条件が永久に成就せず効力が生じることはないので法律行為は無効となり、解除条件のときは、条件が永久に成就せず効力が消滅することはないので法律行為は無条件となる。
- 随意条件(第134条)
- 単に債務者の意思のみに係る条件をいう。「履行したくなったら履行する」というような場合であり、債務者を拘束する内容ではなくなるので、債権として意味が無いので無効とされる。逆に、単に債権者の意思のみに係る条件については、期限の定めのない債務と同様に、条件としての効力が認められる。