枕詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
![]() |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
枕詞(まくらことば)とは、主として和歌に見られる修辞で、特定の語の前に置いて、語調を整えたりある種の情緒を添えるが、歌の意味には直接的に関係しない言葉のことである。一般に五音節で、上五に置かれることが多い。
飛鳥とかいて「あすか」、春日とかいて「かすが」と読むのは、その枕詞から来ている。
枕詞の起源は明らかではないが、古代朝鮮語ではないか、という説もある。しかしそれよりも連想や語呂合わせから作られたものと見た方が正解であろう。(足を引きながら登る→山、中国の最新モード(唐衣)→着る、など)
[編集] 枕詞の例
- 茜さす(あかねさす)→日、昼、紫、照る、君
- 秋津島(あきつしま)→大和
- 足引きの(あしびきの)→山、峰 など
- 梓弓(あづさゆみ)→引く、張る(春)、射る、音、末(すゑ)
- 天の原(あまのはら)→ふりさけ見る、富士
- 新玉の(あらたまの)→年、月、日 など
- 青丹よし(あをによし)→奈良
- 烏羽玉の(うばたまの)→黒、闇、夜、夢
- 味酒(うまさけ)→三輪
- 大船の(おほふねの)→頼み、たゆたふ
- 神風の(かむかぜの)→伊勢
- 唐衣(からころも)→着る、裁つ、袖
- 紅の(くれなゐの)→色、うつし心、浅
- 三枝の(さきくさの)→中
- 敷島の(しきしまの)→大和(やまと)、日本、世
- 白妙の(しろたへの)→衣(ころも)、袖、袂、雪、雲
- 高砂の(たかさごの)→待つ、尾の上(をのへ)
- 玉の緒の(たまのをの)→長し、短し、絶ゆ、乱る など
- 垂乳根の(たらちねの)→母
- 千早振る(ちはやふる)→神
- 飛ぶ鳥の(とぶとりの)→明日香
- 鵺鳥の(ぬえどりの)→のどよふ、うらなげ、片恋
- 射干玉の(ぬばたまの)→黒、髪、夜、夕べ、月、妹 など
- 唐棣色の(はねずいろの)→うつろい易き
- 柞葉の(ははそはの)→母
- 久方の(ひさかたの)→天(あめ、あま)、雨、月、雲、空、光 など
- 水鳥の(みづどりの)→浮き、立つ、青葉、鴨
- 八雲立つ(やくもたつ)→出雲