機会費用
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機会費用(きかいひよう opportunity cost)とは、希少性の存在によって、ある経済活動(選択)に対して、選択されなかった選択肢のうちで最善の価値のことである。逸失利益とも呼ばれる。
例えば、大学進学の機会費用とは、進学せずに就学期間中働いていたら得られたと考えられる利益である。
大学進学の場合、会計上あらわれる費用は、大学進学のための学費などで、就学期間中働いていたら得られたと考えられる利益は会計学上は費用には入らない。しかし、経済学で単に費用という場合は、会計学上の費用に機会費用を足したものとなる。通常、経済学において、合理的な行動とは会計学上の費用ではなく、経済学上の費用にもとづいたものと考えられている。
たとえば、ネットワーク商法などで会員をあつめる場合、「サイドビジネスで月に何万円収入が増えるから、儲かります」という売り文句がつかわれる。サイドビジネスにおいて、会計学上の収支として「儲け」がでたとしても、経済学上の費用においても「儲け」がでるかどうかは別の問題である。もし、経済学上の費用においては、サイドビジネスに時間がとられるのなら、その間の労働の機会費用を考慮にいれなければならない。もし、時給計算で就業可能な別のアルバイトよりも、サイドビジネスがおとっているとすれば、サイドビジネスによる収入増加は労働に機会費用をかならす下回る。また、本業のほうで、疲労した後、時間をさくのだから、 余暇は希少になり、余暇の価値はサイドビジネスをしない場合より大きくなるだろう。もし、この犠牲となる余暇の価値をこえる収入がサイドビジネスによってもたらされないのならば、サイドビジネスは経済学上の収支としては損である。この場合、個人の選択として合理的なのは、セールストークの会計学上の費用にもとづいて行動することではなく、経済学上の費用にもとづいて行動することである。
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