毎月分配型投資信託
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毎月分配型投資信託(まいつきぶんぱいがたとうししんたく)とは、収益の決算を1ヶ月ごとに行い、その度に分配金(配当金)を出す投資信託をさす。
なお、マネー・マネージメント・ファンド(MMF)や中期国債ファンドも1ヶ月決算なのでここに該当するが、一般的には株式投資信託において毎月分配を行うものを指すことが多い。
[編集] 概要
毎月分配型ファンドは、日本においては1990年代後半より設定されるようになった。当初は先進国の債券に投資し、安定的な分配を目指すものが多かった。
その後、リスクの高い低格付債や新興国の債券に投資し高いリターンを狙うもの、高配当の株式に投資するもの、不動産投資信託(REIT)に投資するもの、それらを組み合わせて投資するバランス型ファンドなども現れている。
2000年代に入り、団塊の世代が退職を迎える時期になって、毎月年金代わりに分配金を受け取れる事をメリットと感じた高齢者を中心に、大量の資金がこの種の投信に流入するようになった。国際的な金利低下を背景に、安定的に債券で収益を上げる事が出来るようになった(金利が低下すると債券価格は上昇する)ことも、それに拍車をかけた。2006年9月現在、日本で最大の純資産総額を有する投資信託は「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」となっており、その額は約5兆5000億円になっている。
[編集] 欠点
毎月分配型投信は、運用がよければ安定的に収益金を受け取ることができるが、悪かった場合は自らの資産を切り崩して分配金を払う「蛸配当」状態になっている事もあるので、運用成績の確認を定期的に行う事が必要である。基準価格が一定期間を通して減少傾向にある場合は、蛸配当の可能性が高い。
また、分配金を受け取らずに再投資するコースが選択できる場合もあるが、分配金には20%(2008年3月までは株式型は10%に減免)の所得税・住民税が一律に課せられるため、運用成績が同じ場合は無分配型の投資信託よりも複利効果が薄まることがある(無分配型ならば、解約の際にしか税金が取られないため。下に具体例を示す)。
経過時間 | 毎月分配型 | 無分配型 |
---|---|---|
1ヵ月後 | 10040 | 10040 |
2ヵ月後 | 10080 | 10080 |
3ヵ月後 | 10120 | 10120 |
4ヵ月後 | 10160 | 10160 |
5ヵ月後 | 10201 | 10201 |
6ヵ月後 | 10242 | 10242 |
7ヵ月後 | 10283 | 10284 |
8ヵ月後 | 10324 | 10325 |
9ヵ月後 | 10365 | 10367 |
10ヵ月後 | 10407 | 10408 |
11ヵ月後 | 10448 | 10450 |
12ヵ月後 | 10490 | 10492 |