江川達郎
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江川 達郎(えがわ たつろう)は、山崎豊子の小説「白い巨塔」に登場する、架空の人物。浪速大学病院第一外科医局員。後、舞鶴総合病院外科勤務。
父親は阿倍野で開業(1978年版では、姫路の大病院の院長)。第一外科医局入局後は胸部外科を専攻、先輩の柳原弘と共に東貞蔵の指導を受ける。
財前五郎が教授になった後、佐々木庸平の手術の翌日に行われた抄読会記録係を勤めた。その際に財前が佐々木庸平の手術を評して発した「周辺の転移も無く完全に廓清できた、永久治癒組だ」という言葉を記録。これが後の裁判の重要な鍵となる。
第一審で佐々木側は敗訴。控訴し第二審が始まった頃、佐々木庸平に風貌、病状、生活環境など全てが酷似した安田太一を担当医として受け持つ。やがて、教授総回診中に財前に腹痛を訴え出た安田太一の前で、診察にすぐ駆けつけなかったことを厳しく叱責されるが「学術会議選挙の手伝いをしていた」と弁解したため、財前に不興を被り、関西医科歯科大学系列の組織票1500票を得る引き換えとして、革新的な思想を持つ無給医局員中河・瀬戸口と共に舞鶴総合病院に出された。舞鶴に旅立つ直前、柳原に抄読会のことをほのめかして柳原を驚かせる。
柳原が裁判で真実を証言したことを知った際は急遽舞鶴から来阪、第一外科医局から抄読会記録を持ち出して関口弁護士に届けた。その後の公判で関口は記録を書証として提出。財前側が否認したため関口は江川に在廷証人として出廷を要請。傍らの柳原の口添えもあって江川は出廷に同意。その姿に財前は激怒する。対質尋問では、財前のすり替え証言に逆上し激昂。裁判長から退廷を命じられる。
[編集] 演じた俳優
- 坂東正之助(現・河原崎権十郎 (4代目))(1978年・テレビドラマ)
- これまでの映像化で、江川が登場するのは1978年版だけである。