湿球黒球温度
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湿球黒球温度(しっきゅうこっきゅうおんど)は、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算する。この値は、酷暑の環境下での行動に伴うリスクの度合を判断する指標として広く認められていて、「JIS Z 8504」として規格化されている。また、国際的にはWBGTと呼ばれ、「ISO7243」という規格がある。
[編集] 算出式
・屋外の場合 湿球黒球温度(℃) = 湿球温度(℃)×0.7 + 黒球温度(℃)×0.2 + 乾球温度(℃)×0.1
・屋内の場合 湿球黒球温度(℃) = 湿球温度(℃)×0.7 + 黒球温度(℃)×0.3
[編集] 湿球黒球温度と熱中症
熱中症を防ぐために、日本体育協会は、次のような指針を掲げている:
※これは湿球黒球温度との関係であり、気温との関係ではない。
湿球黒球温度(℃) | ||
31.0 ≤ | 運動は原則中止 | 皮膚温度より気温のほうが高くなり、体から熱を逃がすことができない。 特別の場合以外は運動を中止する。 |
28.0 ~ 31.0 | 厳重警戒 | 熱中症の危険が高いので、激しい運動や持久走などは避ける。 体力の低いもの、暑さに慣れていないものは運動中止。運動する場合は積極的に休息をとり、水分補給を行う。 |
25.0 ~ 28.0 | 警戒 | 熱中症の危険が増すため、積極的に休息をとり、水分を補給する。 激しい運動では30分おきくらいに休息をとる。 |
21.0 ~ 25.0 | 注意 | 熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意しながら、運動の合間に積極的に水分を補給する。 |
<21.0 | ほぼ安全 | 通常は熱中症の危険は少ないが、水分の補給が必要。 市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意する。 |