漁業取締船
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漁業取締船(ぎょぎょうとりしまりせん)は、密漁などを防止・摘発し水産資源を保護することを目的に、監督機関が所有または傭船して運用する船舶。原則として、都道府県知事が許可する知事許可漁業の漁業取締りは都道府県漁業取締船が行い、農林水産大臣が許可する大臣許可漁業の漁業取締りは水産庁漁業取締船が行うが、水産庁も知事許可漁業への取締り権限を有する。
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[編集] 水産庁の漁業取締り
日本では、不法操業など、漁業に関する取締りは、基本的に水産庁の職責である。不法操業の漁船の拿捕に海上保安庁の巡視船がよく登場するが、領海侵犯の類以外の漁業取締り自体は、あくまでも水産庁に協力しているに過ぎない。水産庁漁業監督官及び都道府県漁業監督吏員には漁業法に基づく特別司法警察員に指名されている者もあり、漁業に関する法令の励行に関する事務については、単独での対応が可能である。しかし、後述の装備面の問題もあり、海上保安庁とは相互に密接な協力関係を保ち、協同して漁業取締りを行っている。
水産庁では、操業の監視や密漁の取締りを目的として、6隻の水産庁所有の漁業取締船を保有している。しかし、日本が有する広大な海域を6隻でカバーするのは不可能なため、民間会社から30隻程度の船及び航空機をチャーターしており、これらによって、全国の漁場の監視や不法操業の摘発を行っている。傭船については、船舶の操船は船会社の船員が行い、漁業取締り任務は、乗り込んだ水産庁漁業監督官が行う。
逮捕や拿捕を行う際は、現行犯を除いて、裁判所より逮捕令状の発布を受けて執行される。立ち入り検査の際に武器の使用は認められておらず、放水銃を用いるのがせいぜいで、中華人民共和国や大韓民国の不法操業漁民は立ち入り検査の際に刃物や棒を振り回して襲い掛かってくる者もあるため、実力部隊として装備不足である点は否めない。
[編集] 基本的な装備
- 放水銃
- サーチライト
- ビデオカメラ
- ゴムボート(立ち入り検査の時に使用)
[編集] 漁業取締り部署
- 水産庁管理課
- 北海道漁業調整事務所(札幌市): 北海道
- 仙台漁業調整事務所(仙台市): 青森県、岩手県、宮城県、福島県
- 新潟漁業調整事務所(新潟市): 秋田県、山形県、新潟県、富山県
- 境港漁業調整事務所(境港市): 石川県、福井県、京都府、兵庫県(日本海側)、鳥取県、島根県
- 瀬戸内海漁業調整事務所(神戸市): 瀬戸内海全域、和歌山県、徳島県、愛媛県、高知県
- 九州漁業調整事務所(福岡市): 山口県、九州全県