猿轡
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猿轡(さるぐつわ)とは、声をたてさせないために布などを口にかませるもの。
口の中に布を詰め込んでその上からタオル等で覆うもの、スカーフを1回結んで瘤をつくり、その瘤を口に噛ませて後頭部で縛るものなどがある。また市販品では、ゴルフボール大の玉に革紐がついていて、玉を口に押し込んで紐で固定するもの、厚手の革で口全体を覆うもの、エボナイトの棒を口に噛ませ紐で固定するものなどがある。最近ではガムテープ等で口の上から貼り付けることもある。
市販の猿轡は、猿轡本来の目的よりもむしろ視覚的な効果を期待する場合に用いることが多い。声を立てさせないためには、ガムテープ等で口の周りをぐるぐる巻きにするのが静粛性および耐久性の点で最も効果的である。布を使う場合には布切れを口一杯に詰め込んで、それを吐き出せないように上から別の布で縛るのが効果的である。ただし、場合によっては窒息などの危険があるので注意が必要であり、また、顔をこすりつけることにより猿轡が外れる場合があるという欠点もある。単に布で口を覆うだけではほとんど声を封じることはできない。
轡は馬具の一つで馬の口に噛ませて手綱をつけるものであるが、ちょうど猿に轡を噛ませたような状態であるところからこのような呼び名となった。また古来、雨戸や自在鍵などを固定する用具を猿といったことからその名前がついたとの説もある。
用法としては「猿轡をかませる」という使い方が正しい。「かませる」には、単に口に入れるという意味だけではなく、ぴったりと嵌めるという意味がある。但し、猿轡という言葉を使う人の認識度を表すニュアンスとして、「さるぐつわ」や「サルグツワ」、あるいは「猿轡を嵌められた」「猿轡をする」などと表現することもある。
最近では、若い女性の間でファッションの一部としてボンデージルックを身につけたり、アクセサリーとして玉猿轡(ボールギャグ)をチョーカーのように首につけたりされている。玉猿轡(ボールギャグ)は、いびき防止のための道具として用いられることもある。
猿轡をかませる際には意識があることが重要である。気絶している場合には窒息する危険性があり、また猿轡をかませる必然性もないことから実用的ではない。特にクロロホルム等で意識を失った場合は嘔吐することがあり、窒息の原因になるので、必ず意識が戻った後に猿轡を噛ませることが望ましい。