立川市長による自衛隊員住民登録拒否事件
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立川市長による自衛隊員住民登録拒否事件は昭和48年、自衛隊に批判的な立場をとる阿部行蔵立川市長(当時)が、同市内へ移駐してきた自衛隊員の住民登録を留保したため職権濫用で弁護士3人から刑事告発された事件。立川市側が受付を再開したため、起訴猶予処分となった。
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[編集] 事件の経過
- 1973年(昭和48年)1月6日~2月7日 立川市が陸上自衛隊東部方面航空隊所属の65名分の転入届を返却・返送
- 1973年(昭和48年)2月10日 弁護士3名が東京地検に対し阿部行蔵立川市長と市民課長を職権濫用(刑法193条違反)で告発
- ~1973年(昭和48年)2月26日 東京地検特捜部が民生産業部長と市民課長に出頭を求め取調べ(市民課長は違法の疑いがあるのは知っていたが上司の命により実行した旨供述)
- 1973年(昭和48年)2月26日 立川市が住民登録の受付開始を決定。反戦グループら20名が市長室へ乱入、市長をつるし上げ
- 1973年(昭和48年)2月27日 立川市が住民登録の受付を開始
- 1973年(昭和48年)3月5日 東京地検特捜部が阿部行蔵立川市長に任意出頭を求め取調べ
- 1973年(昭和48年)3月26日 東京地検が市長ら2名を起訴猶予処分
[編集] 起訴猶予の理由
個人の利益を侵害して移駐反対闘争を有利に進めようとしたもので犯情は軽くないが、すでに受付を再開し、不利益が比較的少なかったこと、自衛隊側が処罰を求めなかったことから。
[編集] 防衛白書における記載
「昭和47,48年に,ある市で隊員の住民登録の受付が拒否されたことがあったが,最近でも自衛隊員であることを理由に,一般の市民と異なる取り扱いを受けることがある。こうした事例は,偏見によるものであり,ごく一部の人々の行動ではあるが,隊員の基本的人権の侵害につながるもので,隊員の士気に悪い影響を与えており,その是正が必要である。」昭和51年版
[編集] 参考文献
- 『読売新聞』昭和48年2月10日夕刊
- 『読売新聞』昭和48年2月26日夕刊
- 『読売新聞』昭和48年3月5日夕刊
- 『読売新聞』昭和48年3月26日夕刊