納金スト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
納金スト(のうきんスト)とは、ストライキの一種で、特に水道料金などの集金の人が行うやり方で、「自分たちの労働条件が向上されない限り、集金したお金は労働組合の口座に入ったままで、会社には納金しない」というメッセージを会社側に送るやり方である。数ある労働闘争の中でも生産管理闘争の中に分類され、『一時保管戦術』とも呼ばれる。過去にその違法性が問われた事件があった。労働事件としては名高い熊野電産事件である。この案件は最終的に最高裁判所にまで縺れ込んだが、労働組合員側の無罪で幕を閉じた。
[編集] 熊野電産事件
熊野電産事件とは、労働組合員が仕事上集金行為にて得たお金を、労働組合の口座に入金し、会社に対し、「労働条件が向上しない限り(要求を呑まない限り)集金したお金は会社側の銀行口座には入金しない」と通告した事件である。最終的に組合員側の無罪が確定した。 その理由として、「会社側(検察)が主張する刑法第253条の業務上横領の罪の構成要件として『不法領得の意思が有ること(この場合に則して詳しく説明すると、不法とは他者の権利を侵害することである。よってこの場合、会社の財産権を侵害するまでもして利益を得たり何かを入手する意思があること、となる)』という判断が下され、組合員側(組合側)は、集金したお金を組合正式の口座に入金し且つ払い込んだ証明書を会社に正当な手段で提示し、不法な手段に供することはない、と明示しているため犯罪として成立しない」としている。