紙の爆弾
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紙の爆弾(かみのばくだん)は、株式会社鹿砦社が発行する雑誌である。「死滅したジャーナリズムを越えて、<スキャンダリズム>の旗を掲げ愚直に巨悪とタブーに挑む」を標榜する。
2005年4月、発行人松岡利康、編集人中川志大によって創刊された月刊誌。毎月7日発売。公称部数は5万部。
[編集] 概説
当初は、同社から発行されていた季刊誌「スキャンダル大戦争」の単なる月刊化と評され、装丁のセンスやライターの技量などにも疑問符がつけられていたが、2つの出来事がきっかけで雑誌としての方向性が定まってきたといわれる。
ひとつは、創刊3号目~5号目に村上純穏によって発表された「噂の真相を総括する」という岡留安則批判の記事である。同社から2003年に発行された『平成の芸能裁判大全』は村上の著作であり、その中には岡留のインタビューが収録されていた。その村上が、板坂剛、宅八郎、安部譲二、白取千香雄(月刊「ガロ」元副編集長)といった岡留の天敵を引っ張り出してインタビューを行いながら、岡留や「噂の真相」を鋭く批判したことは画期的であった。ともに反体制・反権力ジャーナリズムを標榜する立場ながら是々非々の論考を貫いたことで、誰であれ批判を手控えない「タブーに挑む」強い決意のあらわれと思わせた。
そして何よりの転機は、2005年7月12日の松岡逮捕であった。発行物およびWebサイトで、パチンコ会社のアルゼ、プロ野球チーム阪神タイガースの元職員を中傷した容疑により、鹿砦社は家宅捜索を受け、業務に必要な書類をことごとく押収された。さらに長期にわたる勾留で事務所は閉鎖、社員を解雇せざるを得ず、事実上壊滅状態に陥った。しかし、編集人中川や、支払いのメドがたたない状態でも書き続けたライター、その他支援者の尽力で、同誌は一時隔月刊でつなぎながらも生き残った。これにより同社は、関係者の連帯、言論弾圧とのたたかい、巨悪へ挑むより強い決意などを自覚した。
同誌は創刊当初は定価500円で110ページだったが、2007年5月号現在では厚みを増して144ページ、連載は8本、執筆するライターも10人を超えている模様だ。
なお、現在は発行人も中川になっており、2007年5月号限りで松岡は同誌から退いた。今後は、中川を中心とした若いライターや編集者によって再出発する。