終止
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終止(しゅうし)とは、音楽用語で、音楽の段落の終わりのことである。楽節と呼ばれる、おおむね4小節から8小節の長さのまとまりの終わりには、この終止が置かれる。終止とはいうものの、その終止感の大きさはさまざまであり、曲の終わる感じはしないが、少し区切りを感じる、というものも含まれる。なお、一般に終止形の語は、日本語では別の概念である。
※以下の例は、全てハ長調であることを前提とする。
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[編集] 完全終止
Vの和音(ソ・シ・レ)またはその派生和音(V7など)からIの和音(ド・ミ・ソ)に移行して終止し、旋律が主音(ド)で終わるもの。両方の和音はいずれも展開形でない。完全な終止感が得られ、古典的な楽曲の最後に用いられる。また、大きな段落の終わりに用いられる。
[編集] 不完全終止
Vの和音(ソ・シ・レ)またはその派生和音(V7など)からIの和音(ド・ミ・ソ)に移行して終止するが、どちらかまたは両方の和音が転回形であるか、旋律が主音(ド)で終わらないもの。完全な終止感が得られないため、古典的な楽曲の最後には用いられない。ある程度の終止感は欲しいが、継続する感じも必要な場合に使われる。
[編集] 偽終止
Vの和音(ソ・シ・レ)またはその派生和音(V7など)からVIの和音(ラ・ド・ミ)に移行して終止するもの。聞く人に意外な印象を与えるので、偽終止の名がある。本来楽曲の終わりであるはずの所に、さらに曲を続けたいような場合に用いられることが多い。
[編集] アーメン終止
IVの和音(ファ・ラ・ド)などからIの和音(ド・ミ・ソ)に移行して終止するもの。やや柔らかい印象を与える。あまり十分な終止感を与えないが、古典的な楽曲の最後の用いられることがある。この場合、完全終止の後にさらにアーメン終止を付け足すこともよく行われる。賛美歌の最後の「アーメン」がこの和音で歌われることが多いことから、この名がある。変格終止、変終止とも言う。これに対し、完全終止、不完全終止、偽終止を正格終止と呼ぶ。
[編集] 半終止
Vの和音(ソ・シ・レ)で終止するもの。ある程度の区切り感はあるが、終止感は全くない。小さな段落の終わりに用いられる。
[編集] 女性終止
弱拍で終止するものを特に女性終止と呼ぶことがある。