経尿道的前立腺切除術
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経尿道的前立腺切除術(けいにょうどうてきぜんりつせんせつじょじゅつ、Trans-urethral resection of the prostate: TUR-P, TURP)は前立腺肥大症における標準的治療法の一つ。
[編集] 手技
全身麻酔・脊椎麻酔・硬膜外麻酔のどれかを前処置として施す。
体位は砕石位とし、内視鏡手術器を尿道より挿入し、尿道の閉塞原因の前立腺肥大症を電気メスで削る。電気メスは出力100ワット~200ワットの高周波装置である。
手術中は視野を確保するために、特殊な等張液で還流しながら前立腺を切除する。手術時間は正味1時間以内が最良とされている。熟練した泌尿器科医で切除速度が1分間に1gの前立腺を切除する。したがって、50gの前立腺肥大症の場合、完全に切除するためには少なくとも50分の手術時間が必要になる。
[編集] 合併症
- 穿孔:削りすぎて前立腺被膜に穴を開けてしまうことがある。
- 水中毒:長時間手術していると、切除断面から還流液が体内に吸収されて肺水腫・心不全状態になる。
- 出血:手術後に止血した血管から出血することがある。
- ED(勃起不全):長時間の手術で電気メスの電流が勃起神経に流れ、一時的に勃起不全になる。
- 尿失禁:尿道括約筋の近辺を電気メスで切除するために、尿道括約筋が一時的に麻痺を起こすためである。
- 対策:術者は無理をせずに、なるべく短時間に丁寧な手術を心がける。
[編集] 症例
右の一連の写真は、ある前立腺肥大症の患者に対し行ったTUR-P手術記録の写真である。症状は1時間に1回の日中の頻尿、夜間3回の頻尿、下腹部疼痛であった。排尿直後の残尿量測定検査結果は172mlと、大量の残尿を認めた。
上は手術前の内視鏡写真である。小さな半球のドームが精丘(精液の発射口)である。正常であれば、この位置から膀胱の内腔が見える筈であるが、前立腺肥大症により尿道が完全に閉じている。
電気メスの金属製ループで前立腺肥大症の組織を削る(中段の写真)事により、前立腺肥大症の圧迫がなくなり、膀胱内腔(暗い部分)を見通すことが出来る(下段の写真)。