結果無価値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
結果無価値(けっかむかち)とは、刑法学の用語で、狭義の行為(Handlung)によってではなく、行為の結果によって規定される無価値をいう。結果反価値ともいう。これに対して、結果によってではなく狭義の行為によって規定される無価値を行為無価値又は行為反価値という。 結果無価値の内容は、(従来の法益侵害説との延長で)法益の侵害又は危殆化であると理解されていた(これに対して行為無価値は行為の反倫理性と理解されていた。)が、近時は事後的な違法評価としても理解されている(これに対しては行為無価値は行為時の違法評価として理解されることになる。)。いずれの定義からも「結果としての危険」は結果無価値であるが、これと区別された「行為の危険」は、前者からは結果無価値として、後者からは行為無価値として理解されることになる。
違法の本質論をめぐっては、ドイツとは異なって日本では結果無価値が違法の本質を構成すること自体にはほぼ争いはない。多数説はこれに加えて行為無価値をも考慮する(折衷的行為無価値論又は二元的行為無価値論。日本で「行為無価値論」というときは通常はこの見解である。)が、結果無価値のみが違法の本質であるとする立場(結果無価値論)も有力である。両説の対立はもともとは規範違反説と法益侵害説の対立の延長上にあるものとして理解されていたが、近年はこの結びつきに対するさまざまな疑問も呈されている。
なお、日本における結果無価値論は、法益侵害説を支持する佐伯千仭の影響の下、平野龍一が強く提唱することで支持を広げ、それぞれの弟子らの間で承継・発展されている。
[編集] 関連項目
- 行為無価値