育児
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育児(いくじ、child care)とは、一般には親が自分の乳幼児の世話、養育をすること。乳幼児とは小学校に入学する前段階の子供を指す[1]。育児には様々な段階があるが、学齢後は子育ての項を参照。
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[編集] 生後の育児
新生児の育児の主なものは、「食物(乳)をあたえる」「排泄物の処理、衛生的な環境管理」「安全な環境を作る」である。 母乳の出方には個人差があるが、可能な限り母乳で乳児を育てることが大切である。ユニセフなどでも金のリボン運動などを行って、母乳育児を推進している。出産後、母親から最初に分泌される初乳には、IgA抗体が多く含まれ、乳児を細菌などの感染から守る働きをしている。その上、母乳の成分は、乳児の成長に合わせて変化していく為、母乳は理想的な栄養となっている。また、乳児が乳首を吸う刺激で母親から分泌されるオキシトシンというホルモンは、母親自身に幸福感や恍惚感を与えるため、愛情ホルモンとも呼ばれる。そして、母乳を生産するプロラクチンというホルモンは母性行動(赤ちゃんを守り、保護したいと思わせる作用)を誘発するため、母乳育児は母性を育む一番の近道となっている。母乳が不足している場合は、ミルクを足す。現代のミルクは栄養面で母乳に近くなっているため、ミルクを足すことで乳児に対して後ろめたい気持ちを持つ必要は全くない。[1]
[編集] 離乳期の育児
5ヶ月に入る頃から、離乳食を考える時期に入る。乳児は母乳やミルクを飲む際に上あごや舌を用いて母親の乳房や哺乳瓶の乳首をしごきながら飲むが、この頃からしごいてお乳を飲むことが自然にできなくなってくるためである。これは、固形物を食べられるようになるために、本能として具わっているしくみである。果汁やスープなどの液体で、母乳やミルク以外の味のするものからはじめて、粒のない流動食、少しずつ粒を大きくしていきながら、乳児の飲み込む力や噛む力を育てる。ただし、様子をながら授乳と並行に行い、後半になるほど授乳量(回数)を減らしていく。3食とも離乳食となり栄養が充分に摂れていることが確認できると、断乳を検討しても良い時期となる。12ヶ月頃が目安ではあるが、個人差が大きく、早ければ良いというものではない。 以前は3ヶ月頃から離乳食を始める、卵も早くから与えていたが、最近では早くから離乳食を始めたり、卵を与えたりするとアレルギーが出やすいなどの報告があり、ゆっくりはじめる傾向にある。 授乳期が終わる事を断乳というが、一般的には親の意思でやめる場合が多いので、子供が自分で飲まなくなり終了する事を卒乳と呼ぶ。
[編集] トイレット・トレーニング
2歳近くなってくると、膀胱が大きくなり、尿を溜める働きがほぼ完成し、2時間ぐらいはオムツが濡れないことが多くなる。この時期において態度で教えられるようになっており、オマルやトイレの便座に座ることを嫌がらなければ、トイレット・トレーニングを始めるタイミングである。うまくできたら大いにほめ、失敗しても叱らないことが重要である(詳細はトイレットトレーニングを参照)。
[編集] 育児にまつわる民俗・風習
- 嬰児籠
- 胞衣
- お七夜
- 帯祝い
- 食初
- 宮参り
- 離乳
[編集] 育児用品
[編集] 関連項目
[編集] 注釈
[編集] 参考文献
- 松井絵里子著『こんにちは赤ちゃん』スカイフィッシュ・グラフィックス、2005年3月、ISBN 4901378163
- 高野優著『高野優の子育てハミング日和―赤ちゃんともっと楽しもう』学習研究社、2006年6月、ISBN 4054031137
- 高橋陽子著『学研の育児マンガ 陽子ママの土曜日の子育て』学習研究社 2002年5月 ISBN 4054016685
- ドクター ウイリアム シアーズ 他著『シアーズ博士のベビーブック』主婦の友社 2000年11月 ISBN4072258458