花式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
花式(かしき、floral formula)とは、花の構造を分子式のような表現で表す方法である。 属レベルでの特徴や形質の違いなどを理解できる。
[編集] 表記法
花の構成要素を次の記号で表す。
- K
- がく片(独kelch)
- C
- 花冠(花弁の集まり、英corolla)
- A
- 雄しべ(群)(英androeceum)
- G
- 心皮(子房の中の部屋)(英gynaceum)
- P
- 花被片(英perianth)
それぞれの構成要素の個数は記号の右下の添え字で書き、このとき融合しているものは「(個数)」と書く。例えば、5枚のがく片があり根元で1つになっていればK(5)と書く。また、構造的に外側m個、内側n個という場合は「m+n」と書く。
子房の位置はGに線をつけて、子房上位を、子房下位を
と書く。またGと個数に線を引く流儀、個数に線を引く流儀もある。なお、ここでいう「上」「下」は、根から遠い方が「上」で、近い方が「下」である。このため花が上向きに咲こうが、下向きに咲こうが「上」「下」の取り方は変わらない。
それぞれの記号の順番は花の外から書くので、KCAGやPAGという順になる。
また、以下のような表記もする。
- ☆
- 花が放射相称の場合に用いる。
- ↓
- 花が左右相称の場合。
☆や↓の記号は花式の先頭に記す。
[編集] 例
- がく片は5枚で融合、花弁は5枚で融合、オシベは外側5本に内側5本、メシベが5本の心皮が融合して1本に見える。メシベは、わかりにくいが柱頭 (メシベの先)をルーペなどで見ると丸みのある五芒星のように見えることから、5本の心皮が融合していることがうかがえる。子房は子房上位である。
- 6枚の「花びら」があるが、下部をよく見ると外側3枚、内側3枚で構成されていることがわかる。外側ががく片に相当(外花被片)し、内側が花弁に相当(内花被片)するが、見かけが同じようなものであるので、まとめて花被片Pで表す。P3 + 3は外花被片3枚、内花被片3枚を表している。A、Gについてはツツジと同様に考えるとよい。