被害者の承諾
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被害者の承諾(ひがいしゃのしょうだく)とは、法に触れる行為を事前に被害者が承諾すること。
ある行為が禁止されていたとしても、被害者の承諾によって禁止が解除されることが多い。被害者の同意とも言う。主に刑法で議論されるものであるが、不法行為法など他の領域でも問題となりうるものである。以下では刑法における議論について説明する。
[編集] 概説
被害者の承諾は、多くの場合は構成要件該当性阻却事由ないし違法性阻却事由と解されている(前者の場合を「被害者の合意」、後者の場合を「被害者の同意」として区別する用語法もある。)。いずれにせよ要件は同じであり(ただし、一部の説では実は異なっているのではないかという指摘もある。)、かつ、日本では違法性阻却事由該当事実の誤想は故意を阻却するとするのが判例・通説であるため、(厳格責任説を採るドイツとは違って)両者の違いにあまり重要な意味はない
[編集] 効果
被害者の承諾の効果としては
- (構成要件該当性ないし違法性の阻却により)犯罪が成立しなくなる
- (構成要件該当性が阻却されるも)別の構成要件に該当することになる
- 影響がない(構成要件該当性も違法性も阻却されない)
以上の3種類がある。多くの場合は1であるが、殺人罪(→同意殺人罪)や現住・現在建造物等放火罪(→非現住・現在建造物等放火罪)などは2であり、14歳未満の女子に対する強姦・強制わいせつは3である。
[編集] 要件
被害者の承諾がありうるのは個人的法益に対する罪のみであって社会的法益に対する罪や国家的法益に対する罪についてはありえないとされる。ただし、それは事実上の理由によるものに過ぎないとの指摘もある。
被害者の承諾の要件は、以下のとおりである。
※加筆求む
被害者の承諾があっても(あるいはあるように見えても)、それが自由な意思に基づかない場合や錯誤による場合には承諾は無効(ないし不存在)とされ、犯罪の成立は妨げられない。どのような錯誤が承諾を阻却するかについては学説において争いがある。