見積
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見積(みつもり)とは、金額・量・期間・行動を前もって概算すること。見積り、見積もりとも。
以下の説明は、特に断りがない限りでは売買契約における見積を説明する。
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[編集] 概要
主に売買契約において、製品の購入やサービスに掛かる費用を前もって算出する行為、またはその金額・計算書の意として使われている。依頼する側は「見積を取る」、依頼される側は「見積を立てる」「見積を出す」と表現する。そのまま動詞として「見積る」「見積もる」といわれる場合もある。
ある製品の購入を検討する場合、購入者は事前に予算を準備する必要があり、また適正な相場で購入する為の市場価格の指針も必要となる。その為、売買契約の事前に販売業者へ価格を算出させ、検討の資料とする事が目的である。
仕入値に利益率を上乗せするだけで完成する見積もあるが、業種によっては作成自体に労力を伴う見積もある。しかし見積作成そのものの対価は依頼者に請求されない場合が多い。
「所要時間を見積る」「一日の来客者数をざっと見積もった」など、おおよその感覚で数字の見当をつける場合の口語体表現でも使われる。
[編集] 相見積
複数の業者から見積を取る事を相見積(あいみつもり)と呼ぶ。合見積とも。省略して「あいみつ」と表現される場合がある。価格競争で業者を選定する為、入札(競争入札)と同義である。
一業者からの見積だけでは比較すべき判断基準が足りない場合に、情報の精度を増す為に複数の販売業者からの見積を比較検討する行為である。その中で最も有利な条件を提示した販売業者を選定する事で、購入者側は予算引き下げや業者の開拓といったメリットを享受できる。
「あいみつ」という表現は、「けいつね(経常利益)」「NR(直帰)」「ASAP(至急)」などと同じくビジネス上の略語として広く使われている。しかしその言葉に初めて接する人にはわかりづらい呼称である為、ネット上の質問BBSなどで単語の意味を問う内容のスレッドが散見される。
[編集] 相見積の弊害
既に発注予定業者(以降A)は内定していて、単にAの見積が適正かを調べる為や、予算に合わない場合の減額交渉の材料として、同業者(以降B)から見積を取る場合がある。この場合、Bの見積は単に比較材料としてしか扱われず、Aより有利な条件であっても受注する事は出来ない。またAにおいては見積作成時に見込んでいた利益を減額される事になる。依頼者がAにはB、BにはAの見積内容を開示しそれぞれに更なる値引を交渉することで、不当に安い見積が作成される場合もある。 相見積が出来レースで、比較資料としてしか使われない見積の事を、ビジネス上の隠語で「あてみつ(当て馬の見積)」「すてみつ(捨てるだけで採用されない見積)」と表現する事もある。上記の例で言えば、Bはあてみつ業者である。 AとBが結託した場合、市場価格が反映されず自由競争が阻害され談合行為となる。
[編集] 相見積に相応しくない案件
相見積が有効となるのは、特定の製品や引越し・保険サービスなど、複数の業者間で提供する内容が同一かほぼ同等内容であるときに限られる。ただし同一製品や同等のサービスの見積であっても、製品においては送料無料やポイント還元などの付加価値の有無や、サービスにおいては質や補償内容の差異など、単純な金額の多少だけで判断できない場合もある。
デザインの意匠やイベントのプランニングなど、複数の業者から提示される内容自体が大幅に異なる場合、金額だけを検討材料にするのは不適当である為、随意契約やコンペ(Competition)と呼ばれる方式で評価が行なわれる。
[編集] ネット上の相見積
2006年の時点で、ネット上で相見積を行なうサイトが業種ごとに複数存在している。製品の販売価格を比較表示するサイトや、条件を一括入力し複数の登録業者から見積がメール送信されるサイトなどがある。