言語帝国主義
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言語帝国主義(げんごていこくしゅぎ)とは、ある地域で特定の外国語が、その政治・経済・文化の力により圧倒的な影響力をもつこと。
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[編集] 英語帝国主義
第二次世界大戦後の英語の言語帝国主義は、世界で初めての地球規模の言語帝国主義であり、かつてのどの言語帝国主義(例えば、ラテン語・フランス語)をもはるかにしのぐ勢力である。
[編集] インターネットと言語帝国主義
インターネットはアメリカが開発したネットワークを基盤としてできたため、 英語に適したシステムとなっている。英語以外の言語表記は技術的にも問題(文字化けなど)があるため、英語のみのサービス提供となっているウェブサイトが圧倒的に多い。対外向けにはやはり英語といった風潮は依然として根強く、実際英語さえ分かれば問題なく情報収集ができ、英語以外の言語で調べるほうが難しいことが多い。文字コードの問題は「ユニコード」の出現で大筋解決するかに見えたが、「アメリカン・スタンダードを助長するだけ」といった危惧する声が高く解決に至らなかった。
先進国以外の インターネット利用者は高等教育を英語で受けているのが普通で、英語で充満しているインターネットに不自由せず、先進国の主要言語以外の言語での情報発信はますます軽視されている。そのため世界の多くの庶民とインターネットの距離は一向に縮まる余地がない。また、コンピューター用語はどこの国も英語をそのまま持ち込む傾向にあり、一般の利用者にとって不利益が生じている。
[編集] 言語権
ヨーロッパは宗教改革にも見られるように、多言語への取り組みが観察される一地域である。アメリカによる英語帝国主義を脅威と捉え、ヨーロッパ連合は多言語主義を掲げている。言語には人権に等しく権利があると主張され、「言語権」という概念が確立した地域である。「人は母語による教育を受け、母語を用いた生活が保障される」といった趣旨の権利である。スペインのカタロニア語は少数言語の復権成功例といえる。
[編集] 関連書籍
- 三浦 信孝、糟谷 啓介 [編集] (2000)、『言語帝国主義とは何か』、藤原書店。ISBN 4894341913