訓読
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訓読(くんどく)とは、中国語である漢文を読む際に、漢字には一字一字に意味があり、訓読みも可能であることを利用して、他の言語として読むことである。主に日本語として読むことが行われる。
旧くは乎古止点(おことてん)によって、漢文に「を」や「こと」などの助字を補うのに興り、返り点(かえりてん)で読む順番を示したり、送り仮名や句読点、片仮名などで日本語の訓で読む助けにしたりして発展した。
- 乎古止点
- 字の周りに点などの符号をつけることによって、その符号の位置で助詞や助動詞など訓読の補助にする。いくつかの流派があって、それぞれ符号の数や位置が異なる。
- 返り点
- 語の読む順を示すときに用いられた補助記号で、主に字の左下に書かれ、レ点や一二三点や上(中)下点などがある。
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[編集] 返り点の種類
- レ点(雁点)
- レ点のついている文字の下の文字をまず読んで、次にレ点のついている文字を読む。
- 一二(三)点
- 一、二、(三)のついている順に読む
- 上(中)下点
- 読み方は一二点と同じ。一二点の範囲をまたぐときに用いる
- 甲乙丙点
- 読み方は一二点と同じ。上下点の範囲をまたぐときに用いる
- 天地人点
- 読み方は一二点と同じ。甲乙点の範囲をまたぐときに用いる
[編集] Unicode における訓点の定義
Unicodeでは、3190から319Fのコードポイントにかけて上記返り点と、文字同士をつなげる縦線が定義されている。
- ㆐(U+3190): 縦線
- ㆑(U+3191): レ点
- ㆒-㆕(U+3191-U+3194): 一-四の点
- ㆖-㆘(U+3195-U+3197): 上中下点
- ㆙-㆜(U+3199-U+319C): 甲-丁の点
- ㆝-㆟(U+319D-U+319F): 天地人点
[編集] 読解
- 楚人有鬻盾與矛者(韓非子)
という文があり
- 楚人有下鬻二盾與一レ矛者上
と返り点を付されていたとき、まず下、二が付されている語を飛ばして次の語へ読み進む。レ点はそれが付されている語を飛ばして次の語へという指示である。次の語に新たに返り点があればそれに従う。即ち、例文は
- 楚人盾矛與鬻者有
(楚人に盾と矛とを鬻ぐ者有り) という順で読むということを示す。