造船奨励法
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造船奨励法(ぞうせんしょうれいほう)
造船工業奨励のため1896年(明治29年)3月に発布された法令。
明治29年以後15年間に総トン数700トン以上で「造船規定」に適合した鉄鋼船を製造した者には、総トン数1トンにつき1,000トン未満の者には12円、1,000トン以上の者には20円、機関をも併せて製造したものには機関の1馬力につき5円の奨励金が交付された。
1909年(明治42年)に改正され、製造総トン数の最下限を1,000トンに高め、奨励金率は、客船、貨物船の区別および船の資格の差に応じて、総トン数1トンあたり11~20円を、機関に対しては従前通りとなり、法令施行期間を改正時より以後10年に延長された。
法令の目的は対外収支を圧迫した外国船輸入の抑制にあることは明白であるが、奨励金だけでは国産船が外国船を凌駕することはできなかった。そこで、間接奨励策として航海奨励法を一部改正し国産船舶に有利な条件を与え、かつ明治42年には遠洋航路補助法を制定して国産船の使用を強要した。その結果は良好で、順次国内製の新造船が現れてきた。
第一次世界大戦中に造船業が未曾有の隆盛を見たため一時奨励金交付を停止、その間に施行期間満了を迎えその後は奨励法が制定されることはなかった。 法令施行中に適用を受けて製造された船数は267隻、総トン数999,322トン、実馬力763,868馬力、奨励金支出額は23,099,499円に達している。