重賞
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重賞(じゅうしょう)とは、競馬の競走の中の目玉となる大きな競走である。
重賞の開催は事前から告知を行い、有力馬を集め、お客様を集める為の看板となる競走である。
重賞の語源は、英語のパターンレース(pattern race)から来ている。パターンレースとは「毎年一定の時期に一定の条件で繰り返し行われる競走」のことで、18世紀のイギリスで始まった。それ以前は競馬の競走は開催直前まで条件が確定されないことが常であったが、パターンレースが広まることによって有力馬が目標を持って調整を行うことが可能となった。重賞という語は、このパターンレースの「回を重ねて賞を行う」点を採って意訳したものとされる。もちろん「重要な賞」であることに疑いはないが、patternという語に「重要な」という意味はない。
ただし、現在ではパターンレースの訳語が重賞である、と単純に定義づけることはできない。例えば、グレード制(ヨーロッパではグループ制)のもとではパターンレースはG1(グレード1もしくはグループ1、以下同じ)、G2、G3およびL(リステッドレース、Listed race)に格付けされるが、このうちリステッドレースは日本では主に「準重賞」と訳され、重賞には含めない。ただし、日本でも重賞以外の一般競走・特別競走の番組が一部を除いて中央競馬では年3回、地方競馬では当該開催の直前に所属馬の動向を鑑みて発表されるのに対し、重賞は年度ごとの発表であり、なおかつ頻繁な条件の変更は行われないことから、「重賞はパターンレースの一種」であるということは間違いない。
重賞に対応する言葉としてグレード競走(ヨーロッパなどではグループ競走)という表現が用いられることも多いが、日本にはグレードなどの格付けのない重賞も地方競馬を中心に多数存在する(中央競馬は平地は1984年、障害も1999年から全ての重賞競走に格付けがなされた)。
中央競馬では、降雪等により芝コースからダートコースに馬場変更となった場合には、重賞競走のままであるが格付けは設定されない。
最近では、1998年の共同通信杯4歳ステークス(現在の共同通信杯)がこれにあたり、降雪で本来の芝1800mからダート1600mに変更となったため重賞の扱いは変わらないものの格付け(GIII)は外された。このときの勝馬はエルコンドルパサーであった。
なお準重賞は日本でも地方競馬では現在も用いられている。