鏡餅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鏡餅(かがみもち)とは、正月などに神仏に供える円くて平たい餅のことである。大小2つの餅を重ねて供える。地域によっては餅を三枚重ねたり、二段の片方を紅く着色して縁起が良いとされる紅白としたもの、餅の替わりに砂糖で形作ったものなど様々なバリエーションが存在する。
鏡餅という名称は、昔の鏡の形に似ていることによる。昔の鏡は青銅製の丸形で、神事などに用いられるものであった。三種の神器の一つ、八咫鏡を形取ったものとも言われる。
鏡餅が現在のような形で供えられるようになったのは、家に床の間が作られるようになった室町時代以降のことである。武家では、床の間に具足(甲冑)を飾り、その前に鏡餅を供えた。鏡餅には、譲葉・熨斗鮑・海老・昆布・橙などを載せるのが通例となり、これは具足餅(武家餅)と呼ばれた。今日では、三方に半紙を敷き、その上に裏白(うらじろ、羊歯)を載せ、大小2つの餅を重ね、その上に串柿・干しするめ・橙・昆布を飾るようになっている。
近年は、家庭内に飾ることの利便性と、後で食べる際の衛生さを考えて、鏡餅が重なった姿を型取ったプラスチックの容器に充填した餅や、同様の容器に小さな餅を多数入れ、プラスチック製の橙などとセットにした商品に人気が集まっている。
[編集] 鏡餅に関する風習
- 飾り始める時期 - 鏡餅を飾るのは12月28日が最適とされる。「八」が末広がりで日本では良い数字とされているからである。逆に12月29日は、日本では「九」が苦しむにつながるので避けるべきとされる。12月30日はきりの良い数字なので悪くないと考えられている。12月31日に飾るのは「一夜飾り」として忌避される。
- 鏡開きの日 - 地方によって違いはあるが、一般的には1月11日とされる。それまでは飾り続けた状態でよいと考えられる。
供え終わったときに木槌などで砕き割り、汁粉などに加工して食べる風習がある。
※神様に供えたものであるので、包丁などで「切る」行為は礼を欠き、縁起が悪いとされる。
[編集] 鏡餅を製造する会社
鏡餅は、各地の米店や和菓子店で製造・販売される他、流通経路を介してスーパーマーケット等でも販売されている。