食味官能試験
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食味官能試験(しょくみかんのうしけん)とは、主に米の食味についての検査のことをいう。
日本では現在、この食味官能試験が、各都道府県の農業改良普及センターや農業試験場等で実施されている。日本国内での代表的な官能試験としては、第三者検定機関である日本穀物検定協会がその協会が定めた独自の基準に従って行う試験がある。
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[編集] 検査の対象項目
官能試験は、米の食味に関する相対的な検査である。
一般にいう食味検査は、官能検査と理学的検査(分析検査ともいう)の2つに分けられる。前者の官能検査では、「白さ」や「つや」といった外観、香り、味、口当り、粘り、柔らかさ(硬さ)などの項目が取り上げられる。食味官能値で総合的に評価する。
なお、現状ではいずれの検査方法にまだまだ問題があるので、食味を正しく評価するためには両者の検査結果から総合的に判定する手法が主流となってきている。
[編集] 検査の信頼性
日本穀物検定協会が公表する「米の食味ランキング」は、炊飯した白飯を実際に試食して評価した結果である。
食味とは本来、感覚的なものであり、個人差が大きい。それは、検査した人間が実際に試食した際の感覚的な評価に基づくものである。また、検査対象となる食物の保存状態や調製方法などの違いが影響されることがあるため、現状ではまだまだ画一的な評価が困難と考えられている。測定方法の技術向上が望まれる。
[編集] 官能検査の問題点
食味官能試験は、それを専門とする試験官(パネラー)がある種の基準に従って行うものである。現在のところ、画一的な基準というものは存在しておらず、検査実施機関がそれぞれ独自に定めているのが実状である。
たとえば、日本穀物検定協会が実施する食味評価試験では、日本晴とコシヒカリを評価の基準として、相対的な評価が行われている(絶対的な評価ではないことに注意が要る)。その評価は産地と品種によって区別される。基準とする米(これを基準米という)と同等のものを 「A'」、特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、 やや劣るものを「B」、劣るものを「B'」としている。ただし、基準米とされた米の品質・成分等のデータは、一般に公開されていない。
一般消費者に最も誤解を与えるのは、米穀店やスーパーの店頭に並んで流通している実際の食用米が、この評価と一致していると思わせる可能性にある。そもそも、当の評価試験で使われた米と全く同等のものが店頭で並んでいるなどということを何ら保証しているわけでは無い。食味に影響を及ぼす要素としては、調理方法(炊き方)や保存方法、さらには精米方法や精米歩合、含有水分量、収穫時期の登熟度も関係していると考えられる。