鳴神
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鳴神(なるかみ)は歌舞伎の演目の一つ。本外題は『雷神不動北山桜』(なるかみふどうきたやまざくら)、初演は寛保二年。『雷神不動北山桜』において、鳴神は当初、「毛抜」・「不動」と共に長編の中の一部として演じられていた。ちなみに、「毛抜」が三段目、「鳴神」は四段目、「不動」は五段目である。 七代目市川團十郎によって、歌舞伎十八番の内に指定される。 明治以降上演が途絶えていたが、1910(明治43)年、二代目市川左團次が岡鬼太郎の脚本をもとに復活上演。人気狂言となっている。
[編集] あらすじ
鳴神上人は、寺院建立を約束に皇子誕生の祈祷を行い、これを成功させる。しかし、時の天皇が約束を破ったために呪術を用いて、雨降らしの竜神を滝つぼに封印させてしまう。これにより、国中が干ばつに襲われ、民百姓が困ると、天皇は女色で上人の呪術を破ろうと、内裏一の美人・雲の絶間姫を上人の元に送り込む。雲の絶間姫の色仕掛けに上人は思わずその身体に触れ、ついに戒律を犯すばかりか、酒に酔いつぶれ、眠ってしまう。その時を見計らった絶間姫により、滝つぼより放たれた竜神により、大雨が降る。だまされたと悟った上人は烈火のごとく怒り出し、髪は逆立ち衣装は炎の模様になり、雷神「鳴神」になり、姫を追う。