ORDVAC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ORDVAC(Ordnance Discrete Variable Automatic Computer、兵器離散変数自動計算機)は、イリノイ大学がアバディーン実験場の弾道学研究室のために開発した初期のコンピュータのひとつである。ジョン・フォン・ノイマンが開発したIASアーキテクチャに基づくもので、このアーキテクチャがフォン・ノイマン・アーキテクチャとして知られるようになった。イリノイ大学の電子技術者たちはこのデザインを最初に実装し、ORDVACを完成させた。ORDVACは世界初のコンパイラが開発されたコンピュータでもある。ORDVACは1951年9月からアバディーン実験場で運用を開始した(訳注:EDVACと同じ場所である)。
当時のほかのコンピュータとは違い、ORDVAC と ILLIAC I は互換性があり、双方のプログラムを交換して動作させることができた。後にそれをコピーした SILLIAC(Sydney ILLIAC)がオーストラリアで開発されている。イリノイ大学の J.P. Nash が ORDVAC とその大学内の姉妹機 ILLIAC Iを開発した。ドナルド・ギリースはアバディーン実験場でのORDVACの動作チェックを手伝っている。ORVACがアバディーンに移転されてからも夜間の8時間はイリノイ大学から電話回線経由で使うことができた。これは、世界で初めて定期的にリモートから使われたコンピュータと考えられる。
ORDVAC は 2178本の真空管で構成されている。加算にかかる時間は 72マイクロ秒で、乗算は 732マイクロ秒であった。そのメインメモリは 1024ワード(1ワード 40ビット)の容量で、ウィリアムス管を使用していた。また、非常に珍しい非同期設計のマシンであり、命令実行を同期させるクロックがなかった。ある命令はその前の命令が終わったのをトリガーとして実行開始されるようになっていた。