Sタイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Sタイヤ(エスタイヤ)とは、公道走行可能な特殊タイヤ。いわゆる「セミレーシングタイヤ」、「セミスリックタイヤ」のことである。
目次 |
[編集] 解説
一般的に、通常のタイヤより溝が少なく、グリップ力が非常に高い。そしてコンパウンド(タイヤの接地面に使われるゴムの種類)が何種類からか選べるという特徴がある。これは路面温度によって、違うコンパウンドを使い分けるというモータースポーツからのフィードバックである。
Sタイヤという表現を用いるようになった元としては、ヨコハマタイヤ(ADVAN)が発売したA021にある。このタイヤではSemi Racing Tireという表記をしていたのだが、社内外より「公道走行可能なのにRacingとは如何な物か」という苦情が出たため、続編のA032よりRacingが落ち、Semiの頭文字であるSのみが残る事となった。 ヨコハマタイヤの他にも、ブリヂストン、ダンロップ、ファルケンなどから同じようなタイヤが発売されており、カットスリック同様になるのを禁止するために、溝とその他の部分(ランド比)が一定以下にならないような自主規制がある。
Sタイヤの欠点としては、ライフが極端に短い点が挙げられる。メーカー開発者によると「使わなくても痛む」という、一種の生鮮食品のような扱われ方をされている。このため、サーキットなどでタイムを出す目的などの特殊用途用と考えた方がよい。 また使用温度を見誤ると、1周持たずにグリップが落ち、無駄なアタックとなってしまう可能性がある。 その他、公道使用可能とはなっているが、走行ノイズが通常のタイヤよりも大きめでかつ乗り心地も幾分か悪く、またドライ用Sタイヤは雨(ウェット状態の路面)に極端に弱いところがあるため、公道で使うには弊害が大きい。
[編集] 用途・その他
使用用途としては、ジムカーナの車検必須クラスの他にビデオオプション企画、サーキットスーパーラップで使われている。チューンドカー限定である同イベントでは、スリックタイヤの使用が禁止されているため、出来るだけソフトコンパウンドのSタイヤを使ってグリップを稼ぐのが基本となっている。
初年度の全日本プロドリフト選手権ではSタイヤが禁止になっていなかったため、フロントにSタイヤを履く選手が現れていた。そんな中、谷口信輝は前後Sタイヤで異次元のスピードを展開していき、しばらくドリフトスタイルのトレンドリーダーとなっていた。
[編集] 裏技
どうしてもグリップが必要な時には、トレッド面を半分程度カンナで皮むきする(サンディング)といった方法がとられる。これにより柔らかいゴムを薄くすることにより剛性感をだし、溝を少しでも少なくする(溝はテーパー状になっているため、根元の方が細い)事により設置面積を上げる。しかしただでさえライフが少ないのをさらに減らす為、究極の1発専用のタイヤになってしまう。使用タイミングと路面状況には十分注意しないとゴミを量産するだけである。
[編集] 関連項目
カテゴリ: スポーツ関連のスタブ項目 | タイヤ | モータースポーツ用語