TDRS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
TDRS (Tracking and Data Relay Satellite) は、NASAおよびアメリカ合衆国の政府機関によって、人工衛星や国際宇宙ステーションとの通信に使用されるデータ中継衛星のシリーズであり、またその衛星を使ったネットワークである。システムはNASAの運用する全ての有人宇宙ミッションにおける通信をおこなう地上局による既存のネットワークを置換できるよう設計されている。その第一の目標は、宇宙機が地上と交信できる時間を増加させ、転送できるデータ量を改善することにある。
初期の7つの衛星はTRW社によって開発された。後の3つのバージョンはボーイング・サテライト・システムズによる。合計10機が打ち上げられ、うち9機が稼働中である。
初号機は1983年にスペースシャトル「チャレンジャー」による最初のミッションであるSTS-6により宇宙に運ばれた。チャレンジャー号の軌道から静止軌道に衛星を運ぶためのロケットはボーイング社が開発したが、これが正常に働かなかったため、やむを得ず衛星に搭載されたスラスタを使用した。このため衛星の運用上の寿命が縮まる結果となった。
二号機は1986年にチャレンジャー号の10番目のミッションであるSTS-51-Lで打ち上げられたが、打ち上げ直後の爆発事故により失われた。その後の5機は別のシャトルにより正常に打ち上げられた。残りの3機はアトラスIIaにより2000年と2002年に打ち上げられた。
[編集] 衛星の種類
- 第1世代TDRS
- 第2世代TDRS
[編集] 打ち上げ履歴
衛星名 | 打ち上げ日 | 打ち上げ機(ミッション名) | 備考 |
---|---|---|---|
TDRS-A | 1983年4月4日 | チャレンジャー (STS-6) | |
TDRS-B | 1986年1月28日 | チャレンジャー (STS-51-L) | 打ち上げ失敗 |
TDRS-C | 1988年9月29日 | ディスカバリー (STS-26) | |
TDRS-D | 1989年3月13日 | ディスカバリー (STS-29) | |
TDRS-E | 1991年8月2日 | アトランティス (STS-43) | |
TDRS-F | 1993年1月13日 | エンデバー (STS-54) | |
TDRS-G | 1995年7月13日 | ディスカバリー (STS-70) | TDRS-Bの代替 |
TDRS-H | 2000年1月20日 | アトラスIIa | |
TDRS-I | 2002年3月8日 | アトラスIIa | |
TDRS-J | 2002年12月10日 | アトラスIIa |