はやせ型掃海母艦
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はやせ型掃海母艦(-がたそうかいぼかんMST-462)は、第三次防衛力整備計画に基づき建造された、海上自衛隊の掃海母艦である。老朽化と後継艦の整備により平成14年に退役した。
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[編集] 概要
海上自衛隊ではLSTを改造し掃海母艦とした「はやとも」を米国から購入し昭和36年より使用していたが、「はやとも」はLSTからの改造艦であったため掃海母艦としての諸設備が充分でなかった上、老朽化が進行していたため代艦の建造が望まれていた。
そこで、昭和44年度計画において新造の掃海母艦が建造されることとなった。これが「はやせ」である。
「はやせ」の艦型は同時期に計画・建造された機雷敷設艦「そうや」によく似ているが、「そうや」が船首船楼型であるのに対し、「はやせ」は全通二層甲板を有し、艦首と艦尾に強いシアーが掛かっている平甲板型である。 また、建造費節約のために、船体構造は防衛庁の船舶設計基準に依拠しているが工作法は造船所側の工作基準を採用し、船殻構造材も大部分にNK規格材を使用し高張力鋼の使用は一部に止められている。 後部甲板には、計画された当時海上自衛隊が保有していた最大の掃海用ヘリコプターV-107の発着艦が可能となる様に強化されている。
兵装は、除籍された護衛艦「わかば」が搭載していた68式50口径3インチ連装速射砲を流用した他、機雷処分用に20ミリ単装機銃Mk.10を2門、また限定的ながら対潜能力も有し68式3連装短魚雷発射管を2基装備していた。 「はやせ」は掃海母艦ではあったが、機雷敷設装置2型を装備し機雷敷設能力も有していた。
「はやせ」本来の任務である掃海母艦としては、当時の5コ掃海隊を一隻で支援出来るように考慮されていた。
[編集] 運用
昭和46年に竣工、海上自衛隊に引き渡された「はやせ」は長らく海上自衛隊唯一の本格的掃海母艦として活躍した。 中でも、戦後初の自衛隊の海外派遣となった湾岸戦争後のペルシャ湾掃海任務には掃海部隊の旗艦として派遣され、掃海艇の指揮及び支援任務に従事した。
しかし、経年による老朽化や設備の陳腐化などにより後継の「うらが」型掃海母艦の整備が開始され、「うらが」の配備後に除籍された。
[編集] 主要要目(新造時)
- 基準排水量:2,000t
- 全長:99.0m
- 最大幅:14.5m
- 深さ:8.4m
- 吃水:4.2m
- 主機:ディーゼル
- 軸数:2
- 出力:6,400馬力
- 速力:18kt
- 兵装
- 68式50口径3インチ連装速射砲:1基
- 20ミリ単装機銃Mk.10:2門
- 68式3連装短魚雷発射管:2基
- 定員:180名
[編集] 同型艦
- はやせ MST-462 昭和46年竣工 平成14年除籍