まだらの紐
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まだらの紐 (The Adventure of the Speckled Band)は、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ作品の1つ。初出は1892年2月のストランド・マガジン、『シャーロック・ホームズの冒険』(The Adventures of Sherlock Holmes、1892年)に収録された。
1927年3月号の『ストランド・マガジン』で、ドイルはこの作品をホームズの短編集の中で第1位に置いている。また、『オブザーヴァー』誌の読者による順位付けでもこの作品が第1位に置かれている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
1883年4月はじめの事件と、聖典中に記載がある。ちなみにこの事件は依頼人であるヘレン・ストーナーが亡くなったために発表できるようになった。
英国サリー州のロイロット家に住む双子のストーナー姉妹の姉ジュリアが、結婚前に謎の死を遂げる。死の間際に「まだらの紐(原語ではband)」という言葉を発したとのことだ。妹ヘレンがホームズに事件の解決を依頼する。というのも、屋敷の改築で、ヘレンがジュリアが使っていた部屋を利用することになり、夜中に不穏な物音を聞いたためである。
ホームズとワトスンはその部屋に入り、呼び鈴の紐が鳴らないこと、通風口が外ではなく義父のロイロット博士の部屋に向けて開けられていること、ベッドが固定されていることなど不審な点に気づく。そして、その夜中に何が起こるのかを寝ずの番をして調べる。夜中のある瞬間、ホームズはやにわにマッチの火をつけ、ステッキで呼び鈴の引き綱を打ち付ける。次の瞬間、隣のロイロット博士の部屋から、この世のものと思えぬ断末魔の叫び声が聞こえてきた。
[編集] 矛盾点あるいは不審な点
「まだらの紐」の正体をホームズはインドでもっとも危険な毒蛇と表現しているが、呼び鈴の引き綱を伝って上り下りし、かまれて即死にいたるような蛇はインドはおろか、世界のどこにも存在しない。また、蛇には人間でいう鼓膜が存在しないので、笛を吹いても聞こえない。蛇使いはよく笛を吹いているが、あれはカムフラージュで、実際は足を踏み鳴らしその振動で蛇を興奮させて蛇を操っているのである。また、牛のミルクを飲む蛇も存在しない。
注釈)蛇はミルクを飲む。 インドの蛇使いは、一定の年月が経つと飼っていた蛇を野に返す。その際、蛇にミルクを与える習慣がある。[要出典]
[編集] 戯曲版『まだらの紐』
1910年ドイル自身の手によって戯曲化され上演された。基本的な筋は同じであるが、ホームズに相談に行く前の話が新たに加えられたり、恐喝王ミルヴァートンが登場したりと小説版とはだいぶ変わっている。