アウトブリード
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アウトブリードとは、馬、犬、レース鳩などの生物の交配における用語で、近親配合ではないことを指す言葉である。異系交配ともいう。対義語はインブリード。
[編集] 馬におけるアウトブリード
サラブレッドはその性質上近親交配を行うのが常であるが、体質が弱くなるなどの副作用が発生するため、これを回避するために異系の馬を交配させることがある。特に5代前までの血統に共通した祖先がいない場合、アウトブリードと呼ばれる。また、専門家の中ではもっと厳密に分けて5代血統表の中に全く共通した祖先がいない場合はアウトクロスと呼び、父または母にインブリードがあるが両親の間にインブリードが発生しない場合のみをアウトブリードと呼ぶ場合がある。
およそ競馬のサイクルとしては遺伝力の強い種牡馬が現れ、その血を引く馬が大量に生まれると血統が飽和して衰退する。このときに異系の種牡馬が現れるとアウトブリードとなって活躍する傾向がある。1990年、日本に輸入されたサンデーサイレンスは典型的な異系種牡馬であり、ナスルーラ(主にテスコボーイやプリンスリーギフト)、ノーザンダンサー(主にマルゼンスキーやノーザンテースト)の血統で溢れていた日本の多くの繁殖牝馬に対して5代血統表に共通の祖先を持たないアウトブリード種牡馬となり、これらの牝馬と相性がよかったこともあって大きな影響を及ぼした。
また、アウトブリードで成功した競走馬には非常にタフな活躍を見せた馬が多いのも特徴の一つと言える。